第28話 愛と義務の選択と三人のヒロインの協調戦闘
俺の部屋は、『均衡の守護者』の襲撃により、一瞬で戦場と化した。リリアを抱きしめ、光と闇の二重障壁で攻撃を防いだ俺は、その反動で壁に激しく叩きつけられた。
「ユウト!」
カエデが炎の大剣を構え、即座に守護者たちに斬りかかった。「ふざけんな!神殿のど真ん中で、よくもやりやがったな!」
ルナも魔力を集中させ、冷静に部屋の状況を分析した。「ユウトの判断は正しかったわ。あのまま攻撃スキルに転換していたら、リリアを巻き込んでいた。今は防御に徹した判断が、私たちを救った」
しかし、ルナの言葉の裏には、「なぜ、せっかく手に入れた最強の攻撃スキルを使わなかったのか」という、研究者としての失望と、戦士カエデへの敗北感が混じっていた。
守護者たちは、俺の防御を破れなかったことに苛立ち、次なる行動に移る。彼らは、俺たち三人ではなく、神殿の結界石を破壊することで、街全体の混乱を引き起こそうと動き始めた。
「まず、神殿の魔力の核を破壊する!そうすれば、『模倣者』もただの人間になる!」
「させるか!」
カエデは炎の速度で守護者たちを追撃するが、彼らの『収束の魔刃』が、カエデの攻撃を一点集中で無効化していく。
「チッ、面倒くせえスキルだ!」
ルナは、俺を睨みつけた。「ユウト!貴方の『雷光加速』で、カエデの攻撃スキルを時間差で発動させなさい!カエデの攻撃が無効化された直後に、その残存魔力に追撃を仕掛けるのよ!」
ルナの知略は、瞬時にこの戦闘の打開策を導き出した。
俺は即座に『魔力演算』を稼働させ、ルナの指示を実行する。
雷光加速 + 魔力演算 + 炎の掌握!
カエデの剣が守護者に打ち払われた0.01秒後、俺が加速させた炎の魔力が、守護者たちの魔力収束の隙間を縫うように直撃した。
「グアッ!」
守護者の一人が、炎に包まれて倒れる。
この時、リリアは俺の腕の中で、聖女の務めを果たそうとしていた。
「ユウトさん、貴方の防御のおかげで、私も冷静になりました。私の『神聖魔力供給』で、カエデさんとルナさんの魔力回路を完璧に安定させます!貴方は、二人の最も強力な盾となりなさい!」
リリアは、自分が戦闘の主導権を握れないと悟り、サポート役として最高の役割を選択した。彼女は、愛する人を守るため、ライバルの力を最大限に引き出すという、苦渋の協調を選んだのだ。
戦闘は、三人のヒロインの愛の複合へと変わった。
リリア(愛と安全): 聖なる光でカエデとルナの魔力と体力を無制限に回復・安定させる。
ルナ(愛と知性): 魔力演算で俺の頭脳を支配し、戦術と複合のタイミングを指示する。
カエデ(愛と情熱): 炎と物理で敵を追い詰め、俺に新たなスキルコピーの機会を与える。
そして俺は、その三人の異なる愛を、『コピーキャット』の力で一つに束ねる『複合の核』となった。
カエデとルナが攻撃の主導権を握る間、俺はリリアを抱きしめたまま、その防御とサポートに徹する。
「貴方の炎は、私が安定させる!安心して暴れなさい、カエデ!」
「ユウト!私の指示通りに動けば、無傷で勝てるわ!」
「ユウトさん、私から離れないで…!貴方の命が、私にとって全てです!」
激しい戦闘の中、三人のヒロインの感情は、愛と嫉妬、そして協力という形で、複雑に絡み合った。
ルナの正確な指示と、リリアの無限の光のサポートを受け、カエデはついに守護者たちのリーダーに一撃を加えた。リーダーは倒れ、残りの守護者たちは敗走していった。
戦闘が終わり、部屋の破壊と、三人のヒロインの熱い視線が俺に向けられる。
リリアは、安堵の涙を流し、俺の騎士としての「義務」が果たされたことに感謝した。
しかし、カエデとルナは、俺の行動に複雑な感情を抱いていた。
「ユウト…あんたは、俺たち(攻撃)を選ばず、最後までシスター(防御)を選んだ。それが、あんたの愛の答えなのか…?」カエデの目には、悔しさが滲んでいた。
ルナは、冷静さを装いながらも、俺に問いかけた。「ユウト。貴方の愛は、最も安全な道を選ぶのね。ならば、私たちの危険な道は、貴方の愛の対象にはなれない、ということかしら?」
俺は、リリアを抱きしめたまま、二人のヒロインに向き合った。
「僕の愛は、誰かを切り捨てることじゃない。僕の最強の力は、誰の愛も、誰の成長も、誰も傷つけずに守り抜くことだ」
俺の答えは、リリアの安全を最優先としながらも、カエデとルナの求める力も決して手放さない、チート能力者としての誓いだった。




