10時半過ぎの不良?ども
今日のしろかえではOLさんです(笑)
午前中に上げるつもりの仕事の目途がついたので、私はパソコンを画面ロックし、ポーチを持って席を立った。
ポーチは“言わずもがな”のフラグで……
私がお勤めしている会社も、何度かweb上で行われたハラスメント研修がようやく奏功した様だ。
“お花摘み”はすぐに済んだのだが、廊下に漂っているコーヒーの香りに抗えず、私はコーヒーマシンへと誘引された。
まるで縁日のイカ焼きや赤提灯の焼き鳥みたいな話だが……こうやって法人のコーヒーマシンは客寄せをしてるんだなあ……
「お昼休みまであと1時間半だからコーヒーを飲んでも大丈夫だろう」と自分に言い訳してコーヒーマシンの前に立つ。
福利厚生がそれほど充実していないウチの会社は、コーヒーマシンはしっかり有料で……
私はスマホをかざして決済する。
少し待っていると挽きたての豆から抽出されるコーヒーの豊かな香りが立ち昇り、コーヒー好きの私はうっとりする。
「これは寄り道だな」
私は紙カップを持ったまま、明るい陽射しを届けている窓の前へと移動する。
今日はよく晴れていて高層ビルから眺める景色はなかなかの物だ。
ふと、眼下を……大きな鳥が横切って行った。
いいなあ~
気持ち良さそうだなあ~
鳥になりたいなあ~
でも、次の瞬間
私の脳裏を“ツバメの餌やり”の映像が浮かぶ。
雛の黄色い口が大きく開いて、そこに親ツバメがトンボや蛾を突っ込んでいる……
うわぁ!!
鳥になるのは勘弁して欲しい!!
だったら……
童話だかアニメ?で観た様に
鳥の背中に乗って空を飛びたい。
これは気持ちが良さそうだ!
落っこちない様にロープで体を結わえて……
「泰子!」
突然声を掛けられて私は我に返る。
「綾乃か……」
「そう!〖綾乃か……」ですよ。アンタ、“お花摘み”で油売ってるとウン●疑惑を掛けられるよ」
「だからコーヒー買ったの」
「で、朝なのに窓の外見て“黄昏”てるわけ?」
「別に“黄昏”てなんか居ないわよ。ただのコーヒーブレイク」
「どーせアンタの事だから“夢見る夢子ちゃん”してたんでしょ!」
「うっさいわね 戻りゃいいんでしょ?!」
「あーん!ちょっと待ってよ!私もコーヒー買うんだからさ!」
「ハイハイ」
「でも、あれよね~ コーヒーサーバーまで金取るかあ~ オフィスグリ□だけで充分なのに!」
「前に居た会社はタダだったよ! 中野の雑居ビルだったけど」
「それそれ! やたら賃料の高い西新宿の高層ビルなんかにオフィス構えるから!」
「まあ、その代わりにこの眺望を楽しんでるわけよ」
「やっぱ!アンタは“夢見る夢子ちゃん”だねぇ~」
「何それ?! じゃあ他にメリットがあるって言うの?」
こう返すと綾乃は窓の外の眺望の……東京タワー辺りへ目をやった。
「“港区女子”には及ばないけどさ!『西新宿の高層ビル』で“お勤め”って、それなりに聞こえがいいもんよ。例えば……合コンとかで!」
「いまどき合コンかよ?!」
「何言ってんの!今は「マッチングアプリ疲れ」が深刻化してる時代なんだから!」
「マジかよ~」
そんな事をたべりながら席へ戻って行く私達だった。
おしまい
妄想のコスプレならOLさんも楽しいですね(^_-)-☆
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