『龍災』極星
「『一等星』」
詠唱を挟んだ事で、威力が強化された極光が容赦無く、その存在を消そうとやってくる。
何かが蒸発する音が鳴って、頭が消し飛んだ。
「ーーそうくるか」
『【魔技駆動式】更新ーー』
頭に響いた謎の声、それが聞こえたその直後、消し飛んだ頭を生やしながら、真っ直ぐこちらに走って来ていた。
「『一等星』」
再度、向かってくる人の形をした化け物に極光が向かう。しかし、その光に当たっても何もなかったように、こちらに進む。
「なかなか、面倒な物だな……」
これで、一つわかった事がある。
「“適応”だけは、早める事が可能。しかし魔力、体の状態は元に戻らない。だな」
先程の再生は、魔力を流して強制的に再生したものだろう。
「『一等星』“氷結”」
発生する“星”は、目の前の少年の周りに群れを作って光の代わりに、氷が炸裂する。
メキメキと音を立てて、相手の体に侵入する。足や、胴体、体の至る所を貫く。
貫いた氷の先から、血のような液体が伝っていた。
「これは、どうでる?」
『【魔技駆動式】更新ーー』
その時、突き刺さっていた氷が、冗談のように割れて動き出した。
それを見て、ルシファーは笑い出す。
「凄いぞ、これは……これを作った“悲嘆”はやはり規格外だな」
「二つ目は、“適応”したものが体内に残っている場合、分解可能。と言ったところだな」
そう言った後、ルシファーは一度、手を合わせてその後、地面に手を置いた。
すると、地面が動き出す。少年を中心に異常なほど唸りだす、そして足掻く暇もなく少年を飲み込んだ。
「“圧死”はどうだ?」
しばらく、静寂が訪れるが……
『【魔技駆動式】更新ーー』
無慈悲なまでに、その声が終わることを許さない。
手が地面を突き破り泥だらけではあるが、傷一つ付いていない体が見える。
あからさまに、魔力が減ってはいるが、このまま倒すのも面白くないと、ルシファーは頭を抱える。
「コレを作った“悲嘆”は、凄いを通り越して、一種の阿呆だな」
そう言ってのけた。そして指を一つずつ立てて
「一つ目が、“適応”は早める事が可能、しかし体の修復は行われない。二つ目が、適応した物が体内にあった時、その物質の強度関係なく分解する。そして三つ目が、適応した物の解釈の変更が可能……という感じか」
既に『圧縮の王』に適応しているのは知っていたため、スキルによる圧死ではなく、物理による圧死ならと思ったが……
「先程の更新で、スキルによる圧死ではなく、“圧死”そのものに適応したのか」
「ーー最早、狂気だな。コレを作ったのは」
そしてルシファーは思考を回す。そして、ある事を思いつく。
「その能力、かなり厄介な物だが……欠点があからさますぎる。作った時に、想定してなかったのだろうな」
ノーモーションで相手を拘束する。黒く変色した魔力で拘束され、まともな動きが出来ないようにしている。
そして相手の体にそっと、触れる。ルシファーは目を閉じて、静かに集中力を高める。
イメージするのは、魔力の通り道。先程頭を吹き飛ばした時、過敏な魔力を流して半ば強制的に再生させていた。
それを見るに、こいつの体には人と同じように魔力の通り道があると断言できる。
「今から我がするのは、その能力の矛盾をつく。面白そうな結果になるのを期待している」
そう言った後、何事も無かったかのように手を離し、歩いて去っていった。
『【魔技駆ーー』
残された敵は……動く事は、二度と無かったと言う。
止まった敵を背にして、【大罪狂化】を解く。ローブは元の服に戻り、背中から生えていた羽は小さくなって、消えていった。
そして、元の姿に戻るルシファー、気絶しているドミニオンを少し嫌な顔をして担いで帰った。
「ーー今日の夕食は……何にしようか」
と、上を見上げながら自身の城に帰って行ったという。




