届いて欲しい、この思い
次の話でこのうざったい会議を終わらせるつもりです。
「さて、話し合いを始めましょうか」
教会の中、案内された部屋は縦に長い机があって、左右に八個ずつ椅子が置かれていた。
そのうちの一つに俺が腰掛け、その隣にカフジエルが座った。
「ーー何を話そうってんだよ、リシュナさん?」
ベアルがぶっきらぼうに聞く、そんな態度を直すかのようにカフジエルがベアルの横腹に一発をぶち込んだ。
「そうですね……よく言えば取引、悪く言えば脅迫、ですかね」
隣で悶絶するベアルを無視して、リシュナはそう答えた。それに待ったをかけるようにカフジエルが口を開く。
「それは……私たちに、喧嘩を売っているって事でいいの?」
鋭い眼差しで目の前の少女を睨みつける。見る人が一般人であれば、卒倒するような形相で睨みつけていた。
「……安心して下さい。カフジエル様、別に敵対するつもりはございません、わたくしは最初に申し上げたように、ただ話し合いをしたいだけなのです」
「それでは、何故そのような言い方を?」
カフジエルの目つきが、さらに悪くなっていく。
「それは、失礼しました。先程の言葉は、このまま穏便に事が進まなければの事です」
「自身よりも強い相手には、保険をかけておくのが常識ではないので?」
カフジエルの圧にも耐えきり、睨みを効かせたその目線に対抗するが如く、リシュナも目を逸らさない。
「少し、話が逸れてしまいましたね。対立はしたくない、それは本心ですのでご安心を」
その時、座っていた椅子から立ち上がり、スッと俺たちの方に頭を下げた。
「ーーそれでは、本題に入りましょう。今回の『龍災』はもしかしたら、人間族の滅亡がかかっているのかもしれないのです。ですから是非六王の皆様にお力を貸していただけないでしょうか」
しばしの沈黙が流れる。
(リシュナが言っていることはなんとなくだが理解は出来る。わざわざルシファーが他の“王”達を集めるなんて……普通じゃない)
「……少し、質問をしても?」
カフジエルが手を挙げ、リシュナに問いかけ彼女は首を縦に振る。
「えぇ、どうぞ」
「『四卿』は?ルシファーが『聖魔大戦』時に与えた技能を持つ四人の人間。六王と同格の人もいるとかだけど?そいつらは動かせないの?」
『聖魔大戦』……かつて、天上、地上、魔境三つの世界を巻き込んだ大戦。今もその名残からいかに激しい戦いであったのかが読み取れる。
『聖魔大戦』の言葉で再度、重苦しい雰囲気が部屋を包み込む。
(それに関しては俺も思ってはいた事だ、でも『四卿』の二人と戦ったけどそこまで強くはなかった気がするんだけど……?)
「それに関してはこの際、はっきりと申しましょう。『四卿』は過去数世代にわたり、力の減少が見受けられるのです」
「なっ……!?」
漏れ出てしまった、ベアルの声が部屋に響いてしまった。だがリシュナは、そんなこと気にせず続ける。
「こちらにいらしてるのは、当代の『愛』の四卿、ラブカさんです」
リシュナの隣に座って、終始何も話さなかった人が、待っていましたと口を動かす。
「長いですよ、リシュナさん。まったくいつまで黙っておけば良かったと思った事か……」
リシュナに愚痴を言った後、こちらに体を向けてゆっくりとお辞儀をして、再度名乗った。
「はい、先程紹介がありました。『四卿』“愛”担当ラブカです……はい。能力は『四卿』としての能力以外に『呪言』が扱えます。以後よろしくお願いします」
第一印象は、
((なんか……心配になる人だなぁ))
(でも、こういうタイプが厄介そうなんだよなぁ……)
ベアルの小さなため息は、この部屋の誰にも気づかれる事はなく、ただ消えていった。
作者「はい!それではみなさん。大好きかどうかよく分からないですが、設定紹介のお時間です。なんと、今回のゲストはこの人です!」
グリード「なんか、久しぶりな気がするなぁ……まぁ最近出てねぇからな」
作者「今回はグリードさんにお越しいただきました!!それでは今回の話は“権能”と“スキル”の違いについてです」
グリード「まず、大前提として俺たち“六王”には『傲慢』と『怠堕』を除いて“権能”使いはいねぇ。そもそもこの二つの違いは、成り立ちからだなぁ」
作者「スキルは、偶発的に起きる先天的な覚醒のような物です。対して権能は、後天的な覚醒のような物です。スキルは自身以外の他者に譲る事が可能ですが、権能は他者に譲渡する事は出来ません。こんな感じかな」
グリード「ただし、権能は所有者本人の意思で変容する可能性がわずかながらある。それが結構面倒なんだよなぁ」
作者「と言っても、変容と聞こえは良いですが、正直言ってそこまで劇的に変わるような物ではないんですよ、残念なことに」
グリード「まぁ権能の能力が、ガラリといきなり変わるなんて想像したくねぇなぁ……」
作者「確かに、ろくなこと起きませんもんねぇ。それでは、今回はここまで。これからも『黒鉄戦士の冒険録』をよろしくお願いします」




