虚飾の残骸
敵を討ち取った後、フェルはその場に力なく座り込む。
『権能三連発は、やり過ぎたな』
壁に寄りかかり胸を押さえて、手は震えて握っていた棍棒は音を立てて地面に落ち、呼吸は浅く苦しんでるように見える。
『クソっ、流石に……五つは多すぎたか?』
呼吸を整えるように深呼吸を繰り返す、あの時にどうやら掠ったのだろう、肩から少し血が滴っていた。その後、戦いの反動か徐々に瞼が落ちていく。
フェルが意識を手放す寸前、どこか上の空でつぶやいた。
『まだ、死ねねぇ……な…』
手に持っていた金属の塊をこれでもかと、強く握る。ただ冷たい感触が握った手に返ってきただけだった。
その頃、ベアルとカフジエルは……
「ようやく見つけたぜぇ、カフジエルさんよ〜!」
カフジエルは、裏路地で腰にかけている三本の剣の手入れをしていて、俺を見つけると嫌そうな顔をした。
「げ、」
「げじゃねぇだろ!!お前とフェルのせいで、散々な目にあったんだからな!」
本当に散々な目にあった、この背中の羽やらキラキラやなんやで、変質者扱いでなぜか街の人と逃○中がスタートして最終的に俺のスキルで服変えれるやんって気づくまで、街を走り回っていた。
途中で服を変えて、カフジエルとフェルを見つけるために走り続けて、二時間が過ぎたところでようやくカフジエルと合流する事ができた。
「なぁ、フェルはどこに……行ったのか知らないのか?」
荒れる呼吸を整えるために、深呼吸を何回か行う。ようやく整い始めた時カフジエルが嫌そうに口を開いた。
「途中ではぐれて知らないわよ、そろそろ来てもいいと思うけど……」
「一応、無事だと思うけど。待っててもしょうがない、先に教会に行ったほうがいいんじゃないのか?」
辺りを見回すが、残念ながらやはりフェルの姿は見えない。
カフジエルも剣の手入れが終わったのか、鞘に直して立ち上がる。
「そうね、行き先は同じだからどこかで会えるでしょう」
俺は頷いて一緒に歩き出した、見た感じ割とルイラ皇国は栄えていた。
「確かさ、この国って二人の王を崇めてるんだっけ?」
「『魔人乱戦』って呼ばれる戦いがこの国を中心に起こって、その戦いの戦火から守ったのが、後の虚飾の王だったそうよ」
カフジエルが淡々と話すが、ベアルはどこか腑に落ちない様子で
「ちょっと待てよ、『聖魔大戦』と『魔人乱戦』どっちもにベリアルって奴がいたんだろ?間にニ百年以上空いてるのに、おかしくないか?」
ベアルが気になってこの世界のことを調べてた時、興味がある表紙を手に取り解読した結果、“六王”が生まれた『聖魔大戦』よりも二百年前である。
その両方に虚飾の王が関わっているのなら、すでにニ百二十は超えている。これはあり得ないことだ、今はもういないが長命を誇ったエルフでさえ最高年齢が百五十から六十と言われており、それを大幅に超えている。
言い伝えでは、虚飾の王は人間だと言われている。
「二百年以上空いてるのに、なんで生きてるんだろう?」
「さぁ、そこら辺はどうにかしたんじゃないの?」
知らないとカフジエルは首を振った。ちょうどその時裏路地を抜けたらしく、目の前に広がる光景に足が止まった。
馬車のようなものが道の真ん中を走り、街道の両端しには複数の露店が並んでおり、それに行列が出来ていた。
露店周辺と、馬車が通る道以外のところでは人が行き交い賑わっていた。
「栄えてるとは言ってたけど……ここまでとは」
「同感ね……これはやばいわ……」
結局その後、フェルの探索に本腰を入れた矢先、人混みにもみくちゃにされ、俺がダウンしてしまって一日潰してしまった。
「大丈夫かしら……フェル」
カフジエルの一言が、俺の不安を掻き立てた。
先に言っときます、ベリアルは種族は人間です。
この作品の世界観についての補足です。
『まってくれ、この作品ケモミミがいねぇ……」
なんて馬鹿なことを思っている人が少なからずいるでしょう。だから断言します、この作品にはある条件下を除いて、ケモミミを始め亜人種族は存在しません。
理由は、今話で言われた『魔人乱戦』と『聖魔大戦』が原因です。『魔人乱戦』で人間よりも身体能力及び、特殊能力を持っている亜人族達を多く戦場に行かせましたが、結果はほぼ全滅。亜人族達全体の人口が激減します。
そこに追い討ちで『聖魔大戦』です。地上を戦場に無差別攻撃は当たり前、虐殺?全然オッケーとかいう頭おかしい戦いだったため残っていた亜人種族が全滅しました。




