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目覚めの希望、怠惰な絶望

また連載頑張ります!応援よろしくお願いします

真っ暗な感じ――久しぶりな気がする。


「あの時は……勝手に起きたけど、今回は違うんだな」


さっき、ヨウヘイを倒した。

だが、“俺”の意識はまだ戻ってこない。

ただただ、内側に閉じ込められたままだ。


「……って言っても、別に消えたわけじゃないんだな」


魂の奥に、確かに“俺”の存在がある。

だが――それを遥かに凌ぐ“僕”という存在もまた、確かにそこにいた。


要するに、俺じゃあいつを消せないってことだ。


「さて……ここから、どうするかだね。最後にあいつが言ってた言葉も気になるし……外のことも、気になる」


俺が覚えているのは、ヨウヘイに入れ替わる瞬間まで。

それ以降、外の世界のことはまったくわからない。


それはそれで、けっこう困る。


「なんせ、目が覚めたら処刑寸前ってオチもあるかもしれないしな」


ヨウヘイは、確かに危険な存在だった。

だが残念なことに、力の使い方をまったく理解していなかった。

――だからこそ、勝てた。


「でも、素人にしては……いい動きだったけどな」


これは、わりと真面目な評価だ。

真似しようと思えばできなくはないが、それでも――


「……お前、前世で何やってたんだ? なぁ、ヨウヘイ」


自問のように呟いたが、当然返事など返ってくるはずもなく――


その時、突如として周囲が光に包まれた。


まるで、俺の目覚めを祝うかのように――



「あ! やっと起きた! おじさん!」


「……何この子? 近い、近いよー」


光から暗闇へ。そして、突然のハイテンション幼女。

何だこの展開の速さ……ド○フかな?


「ちょっと、何してんのよ、まったく」


俺の上に乗っかっていた子どもを、首根っこ掴んでどかした彼女に――


「まぁ……なんだかんだ、生きてると思ったよ。カフジエル」


「あれ? ここは泣いて喜ぶシーンじゃないの?」


「いや、ほら。なんだかんだで生きてると思ってたからさ。

 あの化け物(ルシファー)と正面からやり合えるんだから、そう簡単には死なないよね」


――まぁ、がっつり首、落ちてましたけど。


改めて周囲を見渡すと、そこは病室というより、上質な客室のような空間だった。

白を基調とした美しい部屋に、十人ほどの子どもたちの気配。

どこか柔らかい空気が漂っている。


「……そうね。あなたにだったら、話してもいいかもしれないね」


カフジエルが、静かに、しかし真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。


「どったの? カフジエルさん?」


――その時、俺は知ってしまった。


彼女が、どれほどのものを背負っていたのか。

俺は――『怠惰』の力を、甘く見ていた。


彼女は、**終わりのない“終わり”**に立っていたのだ。


静かに、けれど確かに、

全ての希望が飲み込まれるその縁に――



「……ねぇ、ベアル。もし、“希望”が“絶望”の上に成り立ってるって言ったら、信じる?」


その声音は、どこまでも静かで――

それでも、かすかに震えていた。


ありがとうございます!

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