己の全てを賭けて 其の四
頭いたい
「はぁっ!」
赤い、紅い、赫い、朱い、炎が纏わり付いた剣を俺に向け、真っ直ぐに
そして、一言、剣を振り抜き
『炎天凶刃』
唱えた瞬間炎が協調を取ったかのように一つの光に成った
ボゴオォン!!!
閃光がまとわりつく、俺はその一撃を避けていた…
「やっぱり避けられた」
そう口にしそうになったのをグッと堪える
「ならこれは?」
「王域技、嘆乃幻想世界」
何か今唱えた、
「さっさと倒す!」
前に一歩踏み出した時、後ろから
「あっ、にいちゃん!」
カランッと剣が落ちる音が響く
身体が震えている
「えっ?」
誰だコイツ?ーーー
このスキルは、目の前の相手一人という制限があるが、かけた相手のトラウマや、思い出したくない記憶を掘り出し相手の意識内に出すことができる
出ている間相手は動きを止めその場に座り込む
まるで介錯を待つ人の様に
剣を振り上げ炎を纏わせ首を切る
そのはずなのに、
「何っで、バキャッッッ!!!
相手の蹴りで腕が折れ、吹き飛ぶ
「グッがああー」
痛い、何で?
その二つの事で思考は手一杯である
相手が剣を持ち直しこちらを振り向く
「 」
無言で構える、その姿に恐怖を、本当の脅威を、恐怖を
知ってしまった、顔には何故かヒビが刻まれていた。
ギリっと歯を食いしばりもう一度
嘆乃幻想世界
やはりまた相手は、立ち尽くし剣は地面に転がっている
炎天凶刃、スキルを発動させてベアルの首に
その刃は届かず、相手が素手で握ったことで動かせない
よく相手を見てみると、髪の色が、眼の色が色を取り戻していた。
そして、掴んだままこう唱える
『愚かなる空想に憤怒を』
その瞬間ナタリアの左手がこの世から消えた
声になる悲鳴が、会場を包む
だが彼女の意思が固くまだ剣をベアルに振りかぶる
その直後剣が明後日の方向に飛んでいった、
今度は右手が消えていた
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」
ゆっくりこちらに近づいてくるベアル、別に焦って気が動転しているわけでもない
冷静さを取り戻した彼女が口を開く
「あなたは、誰?」
その問いに関してベアルは、彼女に剣を振り下ろした
僅か一分の戦いだった
眠たい




