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死んだ鼠  作者: マロ
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ネズミを踏んだ

私は学校を早退し、帰路に着いていた。家に着き病院に連絡し、明日診断することになった。ちなみに早退の理由は咳と熱と鼻水と頭痛だ。きっと風邪だろうと思いつつ、もし別の得体の知れないものだったら?とも考えた。とにかく熱で頭がぼーっとしていて考えまとまらない。家はいつもより静かに感じ孤独感が私を覆った。その後も無意味な質疑応答を頭の中で繰り返していたらいつの間にか寝てしまった。

起きた時にはスマホと日の光が当たっていた。昨日どのようにして寝たのかを考え、きっと考え疲れたのだろうと思いつつ、経口補水液の塩味のある甘さを口に巡らせる。寝起きのしんどさが勝つ体をどうにか起こして近くの病院に診察してもらうことにした。

何事もなく終わり、薬をもらって帰ることに。帰路に着いてもうすぐ家に着くだろうと言う時、私はぐにっとしたものを踏んだ。最初は風邪のせいで足の感覚がバグっているのかと思ったがどうやら違ったようだ。下を向くと血まみれの何かを私は踏んづけていた。「ヒィッ」情けない声と同時に飛び上がった。私はその生き物を殺してしまったのだと思った。

その生き物は薄汚れたピンクを持つハツカネズミのようだった。なぜ断言できないのかと言うとそれの体毛は白色だったためである。

白い体毛は所々泥と血で汚れ、活力を全く見せない様子は私の罪悪感を騒ぎ立てた。お願いだから俺のせいで死なないでくれ、と考えるもそのネズミはとうとう動かなくなってしまった。命をひとつ奪ってしまった。その意識が私の精神を少しづつ蝕んで行った。

ごめんなさいとネズミに3回ほど言い、私はその場を離れた。家に着き真っ先にベットに倒れ今日起きたことをずっと思い返していた。『俺が殺した、俺のせいで死んだ、俺は…』と繰り返し繰り返し頭の中で反復させ罪悪感と虚無感で頭を満たされた頃に親がご飯を持ってきてくれた。

私はその日、命の大切さと家族のありがたみを身をもって感じることが出来たのである。

今でも殺してしまったネズミの姿は忘れられない。きっとずっと頭の隅にこびりつくだろう。でもそれでいいのだ。

そうしなければあのネズミに示しがつかないのだ。

家にそのネズミの墓を作り、無事成仏できるように願っている。

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