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ep2 電子レンジに転生

オレは異世界にきた元勇者「レンジ」だ。


「っらしゃせー!!」


この声がオレのこの世界の姿か?

いや、違う。オレは声が......出せない??

どういうことだ??


声は聞こえるのに。


「ったくー、電子レンジとオーブントースター同時に潰れるとか、災難だよねぇ。店員さん、この電子レンジとオーブントースター買うんで少し安くしてくれませんか?」

「あー、どんなに頑張っても、この金額ですかねぇ」

「展示品限りなんでしょ?でも、1番安いのがこれだから仕方ないか」

「まいどありー少し箱詰めしますから少々お待ちください、先にお会計済ませてきてください」


よいしょっと言って、オレは持ち上げられた。


え、おい、どこへ連れていく!?


おい、やめろ、暗闇は苦手なんだよー!!


こういう時は前世のことを思い出すんだ!!


よく洞穴ダンジョンで暗いよー怖いよーって言って、ブンに勇者なんだからしっかりしろよなー!って言われたなぁ。


懐かしいなー勇者だった頃。

ブンは今どうしているんだろう。あの世で元気かな?

ニスは魔法だけで魔王倒せたのだろうか......。

今思えば、3人だけで魔王倒そうとしたのが無茶だったのかもな。



そして、オレはもう一度、持ち上げられて暗闇の中、ゆらゆら揺れて......固定されている?まさか、拷問されているのか!?いや、平和な世界を望んだんだ、拷問はないか。


ガタンと音を立てて、オレはどこかに置かれた。

オレはいったい何に転生したんだ?


そのままガタガタ言って、運ばれていった。


これ、ホントに平和な世界か?

あの女神騙してないか?


しかし、暗闇怖いなー。


(......ジ...こ.........な...や...な)


ん?ふとブンの声が聞こえた気がした。

気のせいか。



「ただいまっと言っても私一人なんだけどね」


ドンッと置かれた。

ホント何に転生したんだ......?


周りをガサゴソ触られた。


やめろ、くすぐったい!!

これでも元勇者なんだぞ!!


「よしっ、電子レンジとオーブントースター設置完了!!まだ20時か!ちょっと気になってたアニメの魔法使いの昼休みを見ようっと」


そうか、オレは電子レンジというものに転生したのか。


魔法使いの昼休みとはなんだ?

気になるものが多すぎる。

そもそも電子レンジとはなんだ!!


(...レンジか?)


え?ブンの声が聞こえた気がした。

いや、気のせいか。


電子レンジとはどんなものなのか、

そして、恐らくこの持ち主の見ている魔法使いの昼休みなるものには魔法があった世界から来たオレからするとツッコミどころが満載だった。


そして、この間からずっと下から聞こえるブンの声。


「そうだ、ポテサラが食べたいなー」


なんだあれは、硬そうだが食べられるのか?

主が食べたいと言っていたから食べれるものだろう。


「そうだ、お母さんから聞いたんだ、じゃがいもは先に電子レンジでチンしたら蒸せるって」


ゴツゴツしたものを持って近づいてくる主。


(ピッピッゴーー)


オレの体から電磁波が出て、ゴツゴツしたものの水分を奪っている。


なるほど、電子レンジというものは、そういうものか!!



(レンジ!!やっと君の声が聞こえたよ!!)

(ブン、お前か!!)


主から見るとこの光景はどう見えているんだろうか。



「え、何?電子レンジとオーブントースターがずっとチンッて言ってるだけど......」

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