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5.二人の去った学長室で。

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「グラドニア様、満足されましたか?」

「シオンか。満足とは、どういう意味かな」

「ふふふ、お戯れを。こうなることは、ご想像の通りだったのでは?」

「……はて、そうだったかな」



 二人の去った学長室で、グラドニアとシオンはそのような会話をしていた。

 窓際に立った長に、秘書は少し意地悪に訊ねる。しかし相手も一筋縄ではいかない、といったところなのだろう。髭を触りながら、どこかとぼけた答えを繰り返していた。

 シオンの方は、それも承知の上での問いかけだったのだろう。

 別室から持ってきた『破片』を示しながら、サラっと報告するのだった。



「あの少女の魔力は量、そして質ともに極上だと思われます。それこそ、これまでの魔法史に類を見ないほどの可能性を秘めている」

「それは、とても喜ばしいな」

「しかし学園長様におかれましては、あまり関心がないようですが」

「そのようなことはない。ミリアの成長は今後も注視し、その力を付け狙う輩の陰を掴まなければならないからな」



 グラドニアはミリアの破壊した魔法水晶を確認しつつ語る。

 彼の言葉の通り、有り余る才を持つ者には誘惑も多く降りかかるものだ。それが歴代最高という力であれば、暗部も手を出すだろうと考えられる。

 だが、それでも学園長はさほど心配していない様子でもあった。

 むしろどこか、安堵さえしているようでもある。



「……しかし、グラドニア様。なぜラーズの入学を許可されたのですか?」

「ふむ、それについては以前に説明したはずだが」

「しかしながら、あの少年にここは分不相応かと存じます」

「それでも、ミリアの負担を軽減するには効果があるだろう?」

「………………そう、ですか」



 そんな彼に、シオンはどこか不服そうな表情で訊ねる。

 しかしすぐに引き下がり、眉間に皺を寄せるに留めるのだった。



「どうか、ご自身の安全を第一にお考え下さい。……学園長様」

「気遣い感謝するぞ、シオン。たしかに、儂には敵が多い」



 その上での忠告に、グラドニアは一つ息をついて答える。

 彼の才能、そして行ってきた改革には、多くの代償があったのだ。とりわけ貴族主義であった学園の体制を変革する際は、あまりに多くの敵意を買った。

 それが、いまだに燻っていることも承知している。

 しかしながら、彼はそれが間違っていたとは思っていなかった。



「この国――ガリアは、変わっていかねばならん。現状維持は衰退と同義であり、固執や執着は視野狭窄の一因となるのだからな」



 そう語るグラドニアの眼差しには、何が見えているのだろうか。

 シオンは彼の隣に立ち、窓の外を見た。すると、



「ラーズに、ミリア……ですね」

「はっはっは、ずいぶんと仲の良い二人だな!」



 そこにあったのは、急いで次の授業へと向かう少年少女の姿。

 まだまだ始まったばかりの学園生活に、振り回されているように思われた。



「…………それでは、私も失礼します。グラドニア様」

「あぁ、分かった」



 そんな彼らの様子を認めてから、シオンは部屋を出て行く。

 残された学園の長は、静かに息をついてから物憂げに呟くのだった。








「ふ……敵が多い、か」――と。





 


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