4.二人の特別な力。
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_(:3 」∠)_
「特別な、力……?」
予想だにしない展開の連続について行けず、俺はついつい怪訝な声で答える。
するとグラドニアは申し訳なさそうに、こう口にするのだった。
「試すようなことをして、すまなかったな。今のはお前の中に眠る力を確認するためだったのだ。もっとも、見込み違いなら死んでいたかもしれないが……」
「軽く言うなよ、爺さん……」
「しかし、儂の考えは正しかった。ラーズよ、お前には――」
彼は呆れるこちらに、改めて言う。
「前代未聞の『無効化の力』が宿っている!」――と。
それを聞いて、俺は首を傾げた。
「無効化、だって? なんだよそれ」
「にわかには信じられないと思うが、お前は周囲の魔法――正確にいえば、魔力の流れを完全に無に帰す力を持っているのだ。儂の魔法を霧散させたように、な」
「魔力を無に……?」
「あぁ、そうだ」
いったい、どういうことか。
説明を聞いても、俺は判然としない気持ちだった。
しかし、現実となった事象は先ほどあったのだ。グラドニアの魔法攻撃を完全に打ち消したという、偶然とは思えない事象が。
だが、それでも俺には気になることがあって――。
「でも、どうして爺さんは俺にそんな力があるって……?」
――なぜ、彼がその可能性を見たのか。
俺は普通の魔法学校に通っていた学生に過ぎなかった。しかも魔法はからっきしで、素手戦闘くらいしか取り柄のない劣等生なのだから。
それを考えていると、学長は静かに話し始めた。
「あぁ、それはな――」
◆
「あ、ラーズ!」
「ミリア、お疲れ様」
とある資料室の前で、幼馴染みと合流。
俺たちはどちらともなく並んで歩きだし、怒涛の流れからの解放感に浸った。そんな中で、ミリアは少し悩んだ表情を浮かべてこう言うのだ。
「ね、ねぇ……? もし私が、凄い魔法使いになれる、って言ったら笑う?」
「ミリアが、凄い魔法使いに……?」
「……うん」
どこか怯えた様子の彼女の言葉に、俺はグラドニアの言葉を思い返す。
彼は、こう言っていた。
『お前の幼馴染み――ミリアは、前例にない魔力を秘めた少女だ。それが入学試験時に見落とされた。その原因となったのが、ラーズの力だからだ』
俺の力が幼馴染みの魔力を平凡のレベルにまで、落とし込んでいたということ。
ただ、さすがに常に隣を歩けるはずもない。あるいは入学試験の結果に違和感があったのか、俺たちの力はグラドニアの知るところとなったわけだ。
そして、もう一つ。
彼はこのようにも言っていた。
『ミリアの力は強すぎるが故に、狙われるだろう』――と。
いったい、どこの誰から狙われるのか。
それは分からない。しかし利用価値というのが理解できないほど、俺も馬鹿ではなかった。だからそれを聞いて、改めて決意したことがあったのだ。
そのための質問をミリアに、いつもの調子で伝える。
「ミリアは、どうしたいんだ?」
すると、しばし考えた後に。
幼馴染みの少女は、気恥ずかしそうにこう答えるのだった。
「私は……うん、そうだね。私は――」
こちらを見上げて、笑顔を浮かべながら。
「いつもみたいに、ラーズの隣にいたい!」――と。
だったら、俺は力の限りで守ろう。
昔からずっと、全力でそうしてきたように。
だから、彼女の答えに一つ頷いてから教室を目指すのだった。
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