2.王都立魔法学園の長――グラドニア。
そーれ(*‘ω‘ *)
あとがきもよろしく!
「何がどうしたって言うんだ、先生?」
「いや、私も詳しくは聞いていない。ただ学長より、編入生の二人を連れてこい、という指示を受けただけだからな」
「え……学園長が、ですか?」
気怠さを隠さずにした俺の質問に、担当教師が答えるとミリアが驚く。
たしかに、かの有名な学園長――グラドニア・アークライツが直々にお呼びとなれば、話が変わってくるというところだ。永く歴史に名を遺すことは確実とされる稀代の魔法使いにして、この王都立魔法学園への入学制度を改革した人物。
数え出したら切りがないほど逸話を持つ彼が、編入生とはいえわざわざ相手にするとは思えなかった。だからミリアは驚きを隠せず、俺もまた眉をひそめるのだ。
「くれぐれも、失礼のないように」
「あぁ、分かった」
「わ、分かりました!!」
いったい、何の呼び出しだろうか。
そう考えているうちに、俺とミリアは学長室の前にたどり着いた。どうやら担任が付き添うのはここまでらしく、彼は念押しするように言って去っていく。
俺はその背中を少しだけ見送ってから、ドアをノックした。
すると、中から聞こえたのは――。
「あぁ、入ってくれ」
短い、しわがれた声だった。
俺とミリアは顔を見合わせると、小さな勇気を持って入室する。
広い部屋の中は意外に簡素な調度品が並んでおり、その奥に彼のグラドニアはいた。噂に違わぬ威圧感を発する顔つきに、威厳を感じさせる長く白い髭。
そんな老グラドニアは椅子に腰かけ、ゆっくりと頷くのだった。
「ラーズに、ミリアよ。まずは王都立魔法学園への入学を祝福しよう」
「あ、ありがとうございます……!」
そして、遅ればせながらな祝辞を口にする。
幼馴染みは声を上擦らせながら、背筋を伸ばしていた。そんな彼女を見てから、俺は学園長に対して単刀直入に訊ねる。
「それで、どうして呼び出されたんだ?」
「ほうほう。噂には聞いていたが、ずいぶん言葉を知らないらしいな」
「……気に入らないなら、言い直すけど」
「いいや、それでいい。むしろ今となっては心地良さまであるからな」
「そんなもんなのか」
「そんなもん、だな」
そこまで言葉を交わしてから、グラドニアは少し表情を崩した。
そして、咳払いを一つしてからこう切り出す。
「さて、呼び出した『理由は二つ』あってだな。そのどちらも、簡単な確認程度のことだ」
「確認程度、って……?」
それに対して、首を傾げたのはミリア。
彼女が不安げな表情を浮かべると、学園長はにこやかに言った。
「あぁ、ミリアには別室で簡単な検査をしてほしいだけだ。儂が主に話をしたいのは、ラーズの方だからな」――と。
◆
「それで、学園長さん。……俺に確認したいこと、って?」
「………………」
そうして、俺とミリアは各々別の部屋へ。
俺はグラドニアと一緒に、学長室に残る形だった。二人きりになると、彼は途端に黙り込んで俺のことをジッと凝視してくる。
その居心地の悪さは言うまでもなく、思わず表情を歪めてしまった。
すると、そんな俺に対して学園長は静かに言う。
「たしかラーズは、王都立魔法学園の入学試験時にミリアの隣にいたのだったな?」
「え……あぁ、俺がというより、ミリアがだけど」
「なるほど、な」
そう言葉を返すと、グラドニアは何かしらを思考するように頷いた。
そして、ゆっくりと立ち上がって――。
「では、確かめさせてもらうぞ?」
「え、ちょ……待て、なんだそれ!?」
――急速に、魔力を高め始めたのだった。
魔法の成績がからっきしな俺でも分かるほど、大きく膨らんだ力に思わず狼狽えてしまう。しかし、こちらの様子など気にした素振りもなく、グラドニアは言い放った。
「死にたくなければ、逃げないことだ!!」――と。
そして、直後に。
俺へと目がけて強力な魔法が放たれたのだった。
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