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プロローグ 幼馴染みから相談を受けた。

(*‘ω‘ *)新作です。

応援よろしくお願いします。








「え、ミリアが王都立魔法学園に編入!?」

「うん、そうなの。私なんかの成績で、どうしてなのか分からないけど」




 それは、ある春先のこと。

 俺――ラーズと幼馴染みの少女、ミリアは小さな魔法学校に入学した。そこはガリア王国が運営している王都立魔法学園とは異なり、民間で経営されている平民向けの場所である。要するにこの二つで学べる内容には雲泥の差があった。

 そして魔法学園に入るには相応の身分か、相当の才能が必要とされる。



「だよな。ミリアの成績って、この学校では良い方だけどさ……」

「だから分からないんだよね。私なんか、引き抜かれるようなレベルじゃないよ?」

「うーん……?」



 ミリアが、肩ほどまでの桃色の髪を弄りながら首を傾げた。

 円らな青色の瞳からは、分かりやすく動揺の色が見て取れる。幼い顔立ちをした愛らしい幼馴染みは、今回の裁定について疑問しかない様子だった。

 もちろん前例がないわけではないが、俺だって今回の決定には困惑しかない。

 過去にだって、多大な努力を以てして魔法学園に編入した生徒はいた。


 ただミリアの成績といえば、俺より良いが平凡の域を出ない。

 過去の先輩たちと比較してしまうと、明らかに見劣りしているのが現実だった。



「でもさ、これはチャンスだろ? 行くべきだって!!」

「え、でも……」



 しかしながら、このような機会は滅多にない。

 さらに言ってしまえば、魔法学園を卒業さえしてしまえば将来は安泰だ。少なくとも平民の身分は脱却できるし、落ちぶれる可能性だって低くなるのだから。

 それなのに、ミリアは俺の言葉に対して明らかな難色を示した。



「私、一人で大丈夫かな……?」

「あー……」



 その理由というのも、引っ込み思案な性格によるもの。

 俺の幼馴染みは、昔からとにかく怖がりだった。今でこそマシになったとはいえ、いつも俺の後ろにくっついて歩いているのだ。

 こっちとしては、そんな彼女を守りたい一心で喧嘩ばかり強くなってしまった。剣みたいな武器はからっきしだが、素手での戦いになれば大人にだって負けない自信はある。



「だからね、一緒にきてくれないかな?」

「……え、なんだって?」



 そんなことを考えていると、不意打ちのようにミリアがそう提案してきた。

 意味が分からず、俺が首を傾げていると彼女はこう口にする。




「実は、一人だけ一緒に入学しても良い、って言われたの。だから私、ラーズにも来てほしいんだ」――と。




 それは、まったく想像だにしない提案で。

 俺は思わず面食らって、目を丸くしてしまった。



「いや、でも……」



 そんな資格が、俺にあるのだろうか。

 そう考えてしばし考え込む。だが、不安げな幼馴染みの表情を見て――。




「…………分かった」




 俺は、決意した。

 ミリアが行くというのなら、俺が一緒に行かないわけにはいかない。だから、




「分かったよ、ミリア。俺がお前を守ってやるから!」

「……うん! ありがとう、ラーズ!!」





 大切な幼馴染みに、そうハッキリと告げる。

 花のような笑顔を浮かべたミリアを見て、俺は改めて覚悟を決めるのだった。




 


面白かった

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