服になど染まらぬ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
今回はオマケも長いですよ。
こうやって生きたいです。
基本的に、派手な服は好まない。地味な色合いと無地を愛し、染まることを知らない黒髪を一つに束ねている。都会に入ればもろとも溶けて消えてしまいそうな女性。外見が持つ唯一の特徴は、視力が悪くて油断していると睨んで居るような、目付きの悪さ。それだけが全てだった。
それでも、忘れる事も、埋もれる事も許さないのは、彼女が持つ激しい内面にあった事だろう。
何処に居ても、突き抜けるハイトーンで人を惹き付けた。強烈なトークで脳裏に焼き付けた。彼女と別れる頃には、もう既に数多の人間の記憶には、彼女の名前が刻まれた。
とある服屋。毎日のように同じ服しか着ないもんだから偶には……という、私の趣味で、一緒に服屋に行くことになった。トレンドに合わせた様々色の衣類がずらりと並んで居るが、彼女は一向に興味を持たない。ただ僅かに眉間に皺を寄せて、私の行動を観察している。
目に染み入る様な真っ赤なブラウスを差し出して、彼女に当てる。このままだと浮いてしまうが、言動が伴えばこれぐらいが丁度いい。
「もっと派手な……赤とかの方が似合うよ。黒とか白とか茶色じゃなくて」
「君、うちのマムみたいな事言うね。でも私にとって服って、サツに捕まらない為に着ているものだから、あんまり重要じゃないんだよね」
そう言うと、ぼりぼりと乱雑に頭を掻き、胸元のリボンを弄び始めた。それから僅かに口角を上げて笑うとこんな事を。
「これ、大学の時の臨時講師が言ってたんだけど、出会った瞬間に覚えて貰わないと、その人は一生誰の記憶にも残らないんだって。だから」
一呼吸置く。それから睨むような目付きをほんの少しだけ柔らかくする。
「服になんか頼らないよ。服になんか負けないよ。服さえ霞まされるほど、私はヤワじゃ無いよ。それは君も知っているでしょう? どうせオシャんなもの着たって、明日には私の着ていた服なんか、みーんな忘れちまうんだから」
「うん……」
結果的に、彼女に飲まれる形で御破綻となった。自分に自信とかないと言う割に、そんな力なんかないと言う割に、人を飲むのが上手い。もう既に彼女は華やかな服に手を取って私に渡してくる。
「じゃ、私が代わりに君のを選んであげよう。なに、趣味は良いんだ。着たくないだけでね。どうにも天邪鬼なんだ」
オマケ
ま、そんな事があったんだ。可愛い顔したオシャンな子だったからさ、私に着られるよりも、あの子に着られた方が服も幸せだろうなって。
あん? 自信がある? 自分に自信が無いというのは嘘? 本当だよ。ある訳ないだろそんなの。でも面と向かって考えた事が無いからさ。どうなんだろ。
まぁでも弱音を吐かない事。思うのは妥協していい。でももし吐くならば、明るく言うこと。外見の綺麗さよりも、強烈な言動の方が人の視線を奪うんだ。それだけで自身が無いとは思われなくなる。付け入る奴が、減る。
最近は何でもかんでも外見のせいにする奴が多すぎる。所詮顔だろ? まぁ、そうだろな。私も綺麗な顔の人大好きだし。一目惚れも多いし。そういや最近三次元の男性の顔見てないな。何時も声だけで判断するから。あ、話逸れた。でもそれは単なるきっかけに過ぎないよ。何時だって人の評価は変動する。目付き悪いのに優しいとか最高だろ? 大好き。株と同じさね。
え、可愛いって言われたからんな事言えるんだろって? 顔見た事無いから何も言えないけど、ブスの気持ちは分からない? ……私も面と向かって、『可愛くない』と言われたことがあるよ。外見を『可愛い』と言われた事なんて身内含めても、片手で数える位しか居ないよ。
で、だから? 内面を、行動をお世辞でも『可愛い』と褒めてくれた人が沢山いる。格好良いと言ってくれた人が沢山いる。それでいいだろ? あんまり僻んでると、眉間のシワ取れなくなるぞ。顔見えないけど。ま、寝癖は直した方が良いね。あれ、結構目に入るから。
どうせ派手な服着ようが、可愛いメイクしようが、残るのは喋りも動きも五月蝿い奴。と言う印象だけ。明日には私の顔さえ能面になる。どうにも服も化粧も持て余す。だからまずは中身を能動的にすること。そしたら外見も意識するようになる。気の持ちようさな。
懺悔室のお気持ち相談、これで良いかい? □□ちゃん?
『彼女』ちゃん、お疲れ様〜!!
以下、余計なお世話なあとがき⸜( ˙▿˙ )⸝
よく動画を見ていると
『どんなに頑張っても、所詮顔だろ?』
という言葉をお見かけします。
まぁ、常に二次元に一目惚れ噛ます私に言われたくは無いでしょうが、それだけじゃないと思います。
最初全く興味なかった顔の子が、ある一つの言動で沼るなんて、ザラです。
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以下実体験
最初
へー新キャラ。無口だなぁ……。髪色もそんなに刺さらないし……。サラサラでも無ければ、くせっ毛でもないし。
刺さるのは目付きくらいかなー。
後
え、お金払ってくれるの!!
とゆか、口調丁寧だし、一人称『私』なの!!
コミュ障だから無口なのね。えー好きー……。
となるのだって割とざらです。突然沼地が。
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一回の付き合いでこれ以上は会わない。
これ以上知ることはない。
という関係でも無ければ、顏なんて些細な事だと思います。
まぁ、それを証明する為に、キャラは濃いめ(多分? 濃いかな?)、他は全て地味で生きていきたいです。
リアルに充実していれば良いんですよ。