十五話
「っ!」
中に入った途端、幾多もの刃が襲ってきた。
ヴォルクさんが剣で弾く。
他の二人は・・・うん。大丈夫そうだね。
コツ コツ コツ
誰かが近づいてきている?
ダンジョンの主か?
厄介なやつじゃないといいんだけど・・・
音がだんだんと大きくなっていく。
コツ コツ コツ
ぼんやりとしたあかりにやってきた人物が照らされる。
そこには・・・・
「あれー?ミーさんのおうちにお客さんが来るなんて珍しーのですよー。」
そこにはあどけない顔の少女がいた。
大きな赤い眼、肩のあたりで切り揃えられている白い髪、そして顔の横から生えているかけた一つの角。
魔族の子供、か?
少女は無邪気に笑ってこちらに近づいてきた。
「いらっしゃいなのですよー!ミーさんはミセリア!!みなさんのお名前は?」
ヴォルクさんが戸惑ったようにこちらを見てきた。
相手にはどうやら敵意がないみたいだし・・・・うーん・・・
「ミセリア?可愛い名前じゃん!俺ゼノ、アンタここで一人で何してんの?」
私が迷っている間にゼノが少女・・・ミセリアの前にしゃがみ、彼女と目を合わせながらにこにこと喋り出した。
「?ミーさんは一人じゃないのですよー。みなさんこそなんでここにー?」
一人ではないにしても彼女は明らかに冒険者ではない。
しかも魔族の少女、やはりダンジョンの主か?
「ミセリア・・・?どうか、し・・・」
奥から声がした。
声の主はこちらの存在に気がつくと怯えたように顔を青ざめさせ後ずさった。
彼は驚くほど真っ白で髪も、瞳も、肌すらも白かった。
少女も彼を見ると焦ったように目を見開いた。
「スーさん!来ちゃダメだって言ったのに———」
「ぁ、う・・・ごめっ・・・」
「っ大丈夫!大丈夫だよ、ミーさんが守るから、絶対に。」
どうやら彼女たちには何かあるらしい。
他の冒険者の行方も彼女は知ってそうだな。
しかしどうしたものか・・・二人ともパニックになってるみたいだし・・・冷静になってほしいけど怖がってる原因が私たちっぽいしな・・・
「ごめん、今日は帰ってくださいなのです。」
「でも、体調悪そうだよ?なんか手を貸せるんだったら・・・」
アリアが心配そうに手を伸ばしてそう言った。
少女は手を払いのけてアリアを睨みつけた。
「いいから帰るのです!!じゃないと、あなたたちを———」
「ストップ、落ち着いて。息を吸って、はいて、深呼吸して。」
その言葉を言ったのは、他でもない。ゼノだった。
ゼノは少女の方をじっと見つめた。
少女もゼノの方を見ながら、白い男を庇うように立った。
「俺は、アンタたちを傷つけたりしない。アンタたちを害しに来たわけじゃない。話をしよう。」
ゼノはそう言いながら腰に下げていた剣を下ろした。
「でも、でも人間は信用できないのです!人間はっ!」
少女は泣きそうな顔をした。
男がゆっくりと少女の腕を取る。
「ミ、セリ・・・ア。この、人なら、大丈夫・・・だと、思う」
「っ!?スーさん!?」
少女は男の顔を見て、そしてゼノの顔を見た。
ゼノは目を逸らさず少女を見つめた。
「分かったのです。スーさんがそう言うのなら・・・。」
少女はこちらに手を向けた。
「奥に招待するのです。要件はそこで聞くのです。でも、もし妙な真似をしたら・・・」
奥から真っ黒な犬が何匹も出てきた。
「あなたたちを殺すのです。」




