四話
過去のお話引き続き。
「なるほどね。」
「殿下は何故そのようなことを?」
「いや、少し気になってね。」
「そうですか。」
その後俺たちは、時間までのんびりと話しながらお茶を飲んでいた。
「ロウラン様。そろそろお時間にございます。」
「ありがとう。それでは殿下、御機嫌よう。」
「あぁ。」
彼女は綺麗にお辞儀をして行った。俺は部屋に戻って、いつものように書類を片付けたり勉強をしたりした。
その後は大きな事件もなく、平穏な日々が続いた。
〜数年後〜 (ロウランの視点)
15歳になり、私たちは学園に行く歳になった。学園は二つの種類がある。
『魔法学園』その名の通り主に魔法を学ぶ学園だ。こちらは魔法の使える者のみ入学できるため、貴族の生徒が多い。
『王都学園』こちらは全てのことを平均的に学べる学園だ。入学条件は無いため平民の生徒が多い。
私は魔法を学びたいため、魔法学園に行くことにした。魔法学園には特別な魔導書もあるらしいからそれ目当てでもある。王太子もこちらの学園に通うそうだ。
入学式の前日、私たちは入学試験を受けることになった。指定された場所に行ったら、燃える炎のような赤い髪と、
黒曜石のような瞳を持つ『エルジア・マーキス・オルスト』と名乗る大人がいた。
「初めまして。僕は今回の試験官をするエルジアだ。今回君たちには、いくつかの試験をおこなってもらう。」
「第一試験担当、エリーザです。第一試験では、魔法の正確さを確かめます。的に向かって魔法をはなってください。」
的に向かって、か。威力はどうしよう。弱めた方がいいのかな。今回は正確さを確かめると言っていた。威力はいつもの6分の1でいいかな。私の順番は最後みたいだ。他の人のを見ていよう。
他の人のを見ていた中で、一番すごかったのは、アゼルナだった。水の魔法で中心より少し右側に当てた。王太子もなかなかすごかった。土の魔法で中心より1センチほど左に当てていた。
他の人の魔法を分析していたら、私の出番が来た。火が勢いよく的に向かい、中心に当たることを想像した。本来ならば詠唱が必要だが、私はこのくらいの魔法では詠唱が必要ない。
手に魔力を込め、勢いよく魔法を放った。火は的の中心を丸く溶かして的に穴を開けてから消えた。
なぜか周りの人達に見られている。なぜだろう。そう思っていたら、エリーザさんに肩を掴まれ揺さぶられた。
「い、今、無詠唱だったよね!無詠唱であの威力だなんて、普通じゃできないよ!どうしてできてるの!どうやったの!」
「お、落ち着いてください。私の母も父も魔法が得意ですから、そのせいです。」
半分本当で半分嘘だ。そのせいではない。
「そ、そういうこと・・・なの?」
「えぇ、そうです。」
人はみんな、笑顔で目を見つめて自信ありげに言われれば信じてしまうものなのだ。
私はそのせいだ、ということにした。
「そういうことも・・・あるんだ?」
「あるんです。」
そう言って私はなんとかこの場を収めた。第一試験は無事に?終わった。
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