side story
僕の妹は小さい頃から不思議な子だった。
教師が教えてもいないことを知っているし物を覚えるのも早い。礼儀作法もすぐにマスターしていた。好奇心も旺盛で知識を吸収することに貪欲。全てのことに何故、と疑問を持ち起こりうる現象に原因や理由を求めた。
でもその時はまだ僕はきっと勉学が好きなのだろう、自分で本などを読んだのだろう。その程度にしか考えていなかった。
僕が妹の異常さに気付いたのは彼女が5歳の時だった。
僕はその日書庫でこの国の歴史書を読んでいた。
「フェイジおにい様、何をよんでいらっしゃいますの?」
「この国の歴史が書かれた本だよ。・・・悪女エヴィエニスについては、知ってるかい?」
「エヴィエニス・・・帝国歴29年生まれ。十五になるまでシャドネイル王国の生まれの母スフィアと隣国ルートバルグ王国の生まれの父ザイン、双子の妹アナリティアの四人で暮らしていた。十五の時両親が死亡。原因は盗賊団に襲われた際の傷。その時の護衛は全員死亡。詳しい状況は判明していない。その後二人は孤児院へ入ることに———」
「ロウ、ストップ。ちょっと待って。そんな情報、本には載っていなかったはず、どうして知っているんだい?」
「だって・・・・みたんですもの。」
出鱈目や適当なことを言っているようではなかった。
ただ本当に、見たままのことを言っている。でもじゃあ、一体どこで彼女はそれを見た?どこで知った?
そしてその時の妹の目はなんだかここではないどこかを見ているようで、自分の知っている妹とは全くの別人のように感じられた。
あの時の気持ちはきっと忘れないだろう。
僕はは初めて心からの恐怖を味わった。
それで言うと父にロウのことを伝えた時の反応もなかなかに怖かったね。
魔力は暴走して黒い霧が漂うは風は吹き荒れるわ、父は目をかっぴらいてるわ・・・
まだ幼かった僕からしたら魔王みたいだったよ。
まったく、父上はロウのこととなると暴走気味なんだよね・・・。
でも、なんというか、あの時の慌てようはそれだけじゃなかった気もする。
きっとなにか・・・僕の知らない何かがある。
両親と・・・おそらく国王陛下も一緒に隠していることがある。
「でもね父上、僕はロウの兄なんですよ?そんなふうに隠されたら、もっと知りたくなってしまいます。」




