side story
「なんだって!?殿下がお倒れに!?原因はなんだ!?」
信じがたいことを耳にした私は思わず従者を問い詰めた。
毒か?いや、毒見役もいるし護衛も増やしていたはずだ。原因は?誰がやった?殿下はご無事なのか?
「あなた、一旦落ち着いて。」
妻に言われてようやく私は冷静になった。
「フェイジに聞いたわ。殿下がお倒れになられた時側にいたのですって。」
「フェイジが?」
「ロウちゃんのことで殿下から呼ばれていたらしいわ。今は衛兵から色々と聞かれているらしいの。それで・・・その時のことを一緒に聞いたんだけど・・・原因はよく分からないのよね・・・。」
「どういうことだ?」
「直前まで話していたのにふっと後ろを振り返ったかと思えば崩れ落ちて・・・・」
その時に何かあったわけではなさそうだな。遅効性の毒の可能性もあるし後で医者に聞こう。
後ろを・・・?殿下は何かにお気づきになられたのか?フェイジは特に気づかなかったようだが・・・
殿下がお目覚めになられれば話を聞けるがいつになることやら・・・
「閣下、閣下に面会したいという人が来ておりますが・・・」
「今は無理だ、追い返せ。」
「いえ、しかし・・・」
「誰なの?その客人は。」
「その・・・国王陛下であらせられます。」
国王だと?殿下のことで何かあるのか?王城に呼び出せばよいものを・・・わざわざ自分から来るか?普通。
まったく、学生時代から変わらず行動力のあるやつだ。
「わかった。応接室へお通ししろ。私も行く。」
今はとにかく情報が欲しい。
何の用かは知らんが今来るんだ。十中八九殿下のことだろう。
私は妻と共に急いで応接室へ向かった。
「お待たせしてしまい申し訳ありません陛下。」
「かまわん。突然来たのが悪いのだ。」
「それで、本日はどのようなご用で?」
「儂の息子のことだ。」
やはりそうか。しかし私の元に来られても特に何もできないが・・・
「ロウラン嬢に会うことはできるか?」
「娘に・・・で、ございますか?」
何故?ロウランは最近は病気ということにしていて社交界にも出ていなかった。今回の件に関わりはないはずだが?
「ルパートが倒れたのは彼の者のせいだという話が出ておる。」
「は?」
不敬だとはわかっているが私は思わずそう言った。
娘が?疑われている?誰がそんなことを。
室内が徐々に暗くなり、黒い霧が漂い始めた。
窓も開けていないのに風が吹く。
「宰相よ、少し落ち着くが良い。一度冷静になれ。」
「冷静に、だと!?娘を侮辱されて冷静でいられるわけがないだろう!!!そんなことを言ったのはどこのどいつだ!!魔獣の餌にしてくれる!!!」
「わかっている、儂も彼女がやったとは思っていない。しかしそれでは納得しない者がいるのだ。次の貴族会で説明を———」
「いい加減に「いい加減になさい!!」
私が怒鳴ろうとすると、隣からさらに大きな声がした。
「いったいどれだけ、どれだけロウちゃんを巻き込めば気が済むの!?貴方がどうしてもと言うから王子との婚約は承諾したわ!!なのに婚約破棄をするわ揉め事に巻き込まれるわ、挙句、事件の犯人!?ふざけないでちょうだい!!!そういう態度を貫く限り、ロウちゃんには会わせません!出直しなさい!!!」
妻がそう怒鳴ると陛下は項垂れた。
そして従者を全員下がらせた。部屋には私とナトリア、陛下だけになった。
「すまない・・・いや、すまん。ナトリア、ファルター。」
陛下は深々と頭を下げた。
「高位の貴族が団結しロウラン嬢を糾弾せんとしている。儂の従者の中にも、そちらに組みするやつもいる。ロウラン嬢を呼ぼうとしたということを見せておかねばならなかったのだ。」
「分かってるわ。私が断ったとでも言っておきなさい。」
「すまん・・・。」
「いいのよ。私の名前ならいくらでも使いなさい。でもいいわね?もしロウちゃんをこれ以上巻き込みでもしたら・・・」
ナトリアは扇子で口元を隠し目を細めた。
「明日の朝日は拝めないものと思いなさい。」
「わかっている。決して、彼女を巻き込みはしない。巻き込むわけがなかろう。彼女にはできる限りこの件から離れていてもらわねばならぬ。」




