五話
「おいコラテメェ・・・どういうことだ?」
俺は思わず声を荒らげそう言った。
衛兵長のフォレンティアは言いにくそうに答えた。
ーリリーザ・バロン・オースウェンを解放するように命令がございました。
クソ
どうなっていやがる。
公爵家、侯爵家、伯爵家・・・名のある貴族の家々からあの女を解放しろと要求された。
あんなに多くの貴族から言われちまったら王家も否とは言えない。
・・・解放しなければクーデターを起こすとまで言われちゃあな。
「あ゛ークソッ!なんで貴族家どもは解放しろだなんて言いやがるんだ!!」
俺は壁を拳で殴った。
苛立ちを当てたかった。
コツコツコツ
誰か来たのか?
この足音・・・そこそこな集団だな。
一体誰だ?
「わたしぃ、怖くて夜も眠れなくてぇ。」
このウザったらしい声、あの女か。
忌々しい。何が怖いだ。
俺はそいつらに近寄ろうとした。
「お可哀想なリリーザ様。どうぞ私の家にお越しになって?」
「いいえ。どうぞ私の家に!必ずお守りしますわ!!」
「大丈夫ですわリリーザ様。私どもにお任せを!」
俺は思わず足を止めた。
この声・・・そこそこ高位の貴族令嬢じゃないか?
プライドが高くて男爵家なんかとは話さねぇって感じだったのに・・・なんだこの違和感は。
俺は近くの柱に身を隠した。
「嬉しいわ皆さん。私、皆さんだけが頼りなの。どうぞ私を助けてね?」
柱の影から見たそいつの顔は君が悪いほど笑顔で、それでいて死んだような暗い顔だった。
そいつはこっちを見てきた。思わず後ずさった。目に光はなく、暗く暗くドロリと濁っていた。
そいつはゆっくりと口を動かした。
ー次は、アナタ。




