三話
「さて、と。じゃあ、登録に入ろうかねぇ。取り敢えずそこの紙に必要事項を書きな。」
「はい。」
冒険者は自由だ。
自分の行動を決める権利と責任を取る義務がある。要は自己責任。
ギルドがするのは依頼人との関係を良好にすること。それから冒険者が死んだ時の国への届出をすること。
そのため記入しなければならないことも僅かしかない。
名前、戦闘時の役職、それから身元を証明する何か。
犯罪者が隠れ蓑に冒険者になることもある。だからギルド側は登録者の過去や今までやったこと、身元・・・それらを調べる。
王国内の民のことを一番知っているのは冒険者ギルドかもしれない。
そこらの情報屋よりも正確に細かく確実に調べ出す。
私は必要事項を記入した。
名前はリオン。リオン・シーラ。
職は魔法使いとしておこう。
近接戦闘もできなくはないが魔法の方がやりやすいだろう。
・・・誤魔化しも効くし・・・
身元の証明として公爵家からの書類を提出する。
国内でもトップクラスの権力を持つ公爵の名前の力は強い。
「よし。じゃあ『リアン』。この針に指を差しな。」
「はい。」
私は人差し指を針に突きつけた。
血が針を伝い下の水晶玉へと落ちて行く。
水晶玉に血がつくと玉が光り文字が浮かび上がってきた。
これで登録完了だ。
ギルドの登録は本当に不思議で仕組みが全く持って解明されていない。
神々の時代と呼ばれる古い古い術式で研究者たちはこぞって解明に勤しんでいるがまだわかったことは何もない。
現在使われている術式とはかけ離れていて根本的の違うのだ。
「これでいい。今日からお前は冒険者だ。・・・自由を楽しみな。」
そう言って彼女は口角を上げた。
私が冒険者でいられるのはどれくらいだろう。
しばらくしたらまた貴族社会に戻らなくてはいけないだろう。
それまでの間、全力で楽しもう。
私はそう決意した。
「そうそう。さっきの少女のところに行かなくては。」
私が全属性持ちだと気づいたあの少女。
あの歳で学園長と同じ・・・いや。それ以上の能力があるならば。
是非とも仲間にしておかなければ。
私は待ち合わせ場所へ向かった。
ふむ・・・あの少女はどこに・・・
「嫌だと言っているでしょう!?離しなさい!!」
大きな声が聞こえた。
彼女の声だ。
声のしたほうを見てみるとあの少女がいかにもチンピラと行った風貌の男たちに囲まれていた。
周りの人たちはチラチラとそちらを見つつも誰も助けない。
これは助けないとかな。
そう思った時。
「離せっつってんだろこのクソ野郎!」
意外な言葉がその少女の口から飛び出た。




