表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢は普通になりたい  作者: 月乃夜
第一章 公爵令嬢 ロウラン・デューク・ノヴェユール
4/62

三話

今回も引き続き過去についてです。

〜数年前〜 (ロウラン、10歳)

いつものように朝食を食べていた。自分で毒が分かるため、毒見役はいない。我が家の腕のいい料理人が作ったスープを飲もうとして、違和感に気が付いた。


「これ、毒だ。」


暗殺目的の毒、良くあることだ。そう思って、気にしていなかったが今回はいつもと違った。朝食の1時間後、本を読んでいたら、背後から矢が飛んできた。咄嗟に避けたので良かったが、気付かなかったら首に当たっていた。腕がいいと思った。2時間後、今度はナイフが飛んできた。これも避けられたから良かったが、避けなかったら命に危険があった。その3時間半後、昼食の後に出た紅茶のカップに針が刺さっていた。ちょうど死角に、毒針が。

午後は出かけようと馬車に乗って移動していたら馬車が襲われた。先に、敵襲があっても殺すなと命じておいたため親子らしき二人組が私の前に連れてこられた。


「ここで話すのもなんだし、一旦帰って私の部屋で一人ずつ話を聞こうかな。」

「「「はっ!」」」


館について、まず私は父親らしき人と話すことにした。(おそらく四十代)


「どうも、初めましてかな。」


私はにこやかに彼にそう言った。


「何か、私に先に言うことはある?」

「あぁ。よろしいか?」


意外と丁寧な言葉遣いなので驚いた。ますます興味が湧いてきた。


「どうぞ。」

「今回のこと、指示したのは私で、責任も私にある。どうか、この命ひとつで容赦していただけないでしょうか!」

「もう一人を見逃せと?」

「頼める身分では無いのは承知の上です。しかしーー」


私は手で制し、彼の言葉を止めた。


「続きは、彼女の言葉も聞いてから聞くよ。とりあえず別室で待っていてもらえるかな。」

「ーかしこまりました。」


彼を客室に連れて行ってもらった。


「何かな?」


私は何か言いたそうにしていた執事に声をかけた。


「暗殺者に対して甘すぎるのでは?」

「彼らには何か事情がありそうだからね。お金のためだけというわけじゃなさそうだ。」

「それだけですか?」

「今のは建前。」


彼に嘘はつけないな。


「本当の理由は?」

「彼らに興味があるんだ。それにとっても優秀そうだから。部下に欲しいな〜って。」

「なるほど。」

「だいたい予想通り?」

「えぇ」


彼は私が幼い時からいた。考えてることはバレバレってわけか。

コンコンコン、とドアがノックされた。


「どうぞ」


もう一人の暗殺者ちゃんが入ってきた。彼女は顔を真っ青にしながらもこう言った。


「私から何か頼める立場ではありませんが、承知の上でお願い申し上げます!!」

「何かな?」


助命かな。だとしたら、がっかりだけど。


「今回貴女様を暗殺しようとしたのは全て私です!だから私の命ひとつでお許しくださいませんか!?」


それを聞いて、私は思わず笑ってしまった。


「ふ、あはは、ははは、あははははっ。」


前にいる暗殺者ちゃんは若干怯えていった。


「君たちは本当に面白いね、もう一人の方も呼んできて。」

「かしこまりました。」

すぐにもう一人の暗殺者さんも来た。

「単刀直入に言うけど、私は君たちの命は欲しくない。」

「「っ!!」」


彼らが絶望的な顔をして、こちらを見てきた。


「まぁまぁ、話はまだ終わってませんよ。」


こんなに興味のある人を失うなんて勿体無い。


「あなたたち、私に仕えませんか?」

「・・・正気ですか?我々はあなたを・・・」

「私はあなたがたに興味を持ちました。そして部下に欲しくなりました。」

「貴女様のお父上はお許しになるのですか?」

「えぇもちろん」

「その根拠は?」

「だって、自分の娘がはじめて人に興味をもって、はじめてのおねだり(・・・・)をしてきたんですよ?」


二人は目をパチクリとさせて顔を見合わせた。そして二人とも私の前に跪いた。


「我ら一族(・・)貴女様に従います。」

「よろしくね。二人の名前は?」

「ガルムントです。」

「アゼルナです。」


男の人がガルムントで女の人がアゼルナか。よし覚えた。


「とりあえず、君たちの最初の仕事は、私達と夕食を食べること。いいね?」

「「えっ!?」」

「あぁ、お嬢様に新しく仕える者は最初の仕事が皆これでした。ここではこれが普通です」


私に仕えている侍女がそういった。


「そういうこと。」

「「かしこまりました!」」



このようにして、二人は私に仕えるようになった。今ではもう新人に仕事を教える立場までになり、頼れる部下となっている。そして大事な私の仲間だ。

こうして私は王太子に彼女たちとの出会いについて、私に仕えるようになった経緯についてを話し終えた。

いつもより少し長くなりました。

次回も、過去についてです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ