二話
「久しぶり、ね。」
げ・・・ば、バレてる・・・?
いやいやいや。いくらアルドネラさんだからってまさかそんな
「すみませんが人違いでは?」
「ねぇ、アタシが気づかないとでも思ってんのかい?ん?」
やばいやばいやばい
気づかれてるよ絶対!!
あーどうしよう。まずいってやばいって!!
どうにかして誤魔化す?
理由を説明する?
いや・・・逃げるか・・・?
「ローウー?」
笑顔で圧をかけられた。
恐い。
「お久しぶり、です。アルドネラさん。」
「ようやく認めたか。随分と往生際が悪かったなぁ。」
「ちょっと・・・まぁ。いろいろあって。」
アルドネラが私のことをじっと見つめてきた。
なんだか全て見透かされているような気になる。
はは。きっと全部わかっちゃってんだろうな。
私が貴族間での揉め事に疲れてこっちに逃げてきたこと。
どうしよう。いっそ全部言って手を貸してもらうか。
・・・あーあ。よくないな。甘えてしまいそうだ。
でも、彼女を貴族の揉め事に巻き込むわけにはいかない。絶対にだ。
「・・・アタシに頼っていいんだよ?ほんと・・・」
「それはできません。私は・・・」
「貴族だから?」
そう。
私はここの領地を収める家の娘。
領民に助けてもらうわけにはいかない。
それが、貴族としての矜持だ。
「・・・・わかった。アタシは首を突っ込まないよ。でも、今のアンタは新人冒険者だ。副長として、アンタを助ける義務がある。」
だから、
そう言って彼女は笑った。
「アタシにもっと頼れ。」
「・・・はは。敵わないな・・・ほんと。」
頼っちゃいけないのにな・・・。
自分が情けないな・・・・。結局、頼るのか。私は。
「あったりまえだ。アタシが何年生きてると思ってんだい?」
「え・・・何年ですか?」
アルドネラさんの年齢・・・これは冒険者内の七不思議の一つだ。
数100年生きてるとも言われてるし、数十年だという人もいる。
とりあえず、見た目からは判断できないことは確かだ。
「あー・・・・アンタの数十倍・・・とだけぇ言っておくよ・・・。」
私の数十倍・・・となると軽く百年超えて・・・・考えるのはやめよう。
知ってはいけないことな気がする。
「まぁ、そんな話は置いといて~?とっととアンタの冒険者登録を・・・・と言いたいところだが・・・」
・・・さっきやらかしたやつか。
本当に、なんだったんだろうあの声。
耳元でつぶやかれたみたいな・・・小さくて、でもはっきりと聞こえた。
でもあの場は野次馬どもの声で騒がしかったし・・・声なんて聞こえるはずが・・・
『これで私は最終的に勝つ。あなたの負けは確定したの』
不意に、その声が頭に浮かんだ。
いや。違う。聞こえたのはあいつの声じゃなかった。
じゃあ一体・・・誰の声で・・・
・・・分からない。分からないことだらけだ。
どうしたものか・・・。
「今回の一件は不問にするよ。先に喧嘩売ったのは、あっちみたいだしねぇ。」
「いいんですか?あなたが止めなければ大惨事に・・・」
「いいんだよ、止められたから。それにまぁ、あれだ。自己責任。冒険者の鉄則だろう?」
自己責任。
それで片付けていいんだろうか。
流石にあれは・・・まずいんじゃ・・・
「真面目に考えすぎだよ、アンタは。アイツらは随分と調子に乗ってたからねぇ。いい薬になっただろう。」
・・・どうやら私も、彼女の手のひらの上らしいな。
「敵わないなぁ・・・」




