二十九話
久しぶりの投稿です
またいつもの令嬢が騒いでいる。
ったく、なんでそんなにあいつに突っかかるんだか。
今回のも、いつも通り虚言。
そう思っていたのに。
俺は信じられないものを見た。
いまだに自分の目がぶっ壊れてんじゃねぇかと思う。
だって、あいつが、令嬢を突き飛ばした?
しかも、それが当然だと言う?
あんな、あんな顔するなんて。
これは夢なんじゃないか?
そう思いたかった。
だから壁に頭ぶつけてみたりした。
そしたら痛かった。
痛かったんだ。
なんであんなことしたんだ?
人が変わっちまったみたいに。
なんで。
なんで。
そっから、俺たちの日常は崩されていった。
『聞いた?ノヴェユール公爵令嬢様、リリーザ様を叩いた挙句、汚いって言ってハンカチで拭ったんですって!!』
『信じられない。いくら公爵令嬢だからって・・・』
『いい人だと思っていたのに。』
『ノヴェユール様、人に命令してリリーザ様の教科書破り捨てたらしいわよ。』
『聞きましたわ。何人も見たんですって。』
『しかも、男爵令嬢風情がって呟いたらしいわよ。』
『あれでしょ?殿下とリリーザ様が仲良くなさっているから、嫉妬したんでしょ?』
『女の嫉妬は醜いな。』
あいつの評判は落ち続けた。
一体なんで・・・。
それから数ヶ月経ち夏休みに入り少ししたころ、王宮への召喚命令が来た。
は?
なんで急に王族が?
クソ、忙しい時に。
俺は渋々王宮へ行った。
俺を呼んだのは他でもない、王太子ルパートだった。
彼の顔は暗い。
「今日はどうなさったのですか、殿下。」
「君は、彼女の噂を聞いているか?」
「噂?最近のあれですか?」
「そうではなくて・・・・それでは、なくて。」
他にあいつの噂なんかあったか。
それより前の、有名な噂ぁ?
あぁ、あれか?
「「銀髪の悪魔。」」
俺と殿下の声が被った。
悪魔とあいつになんの関係が?
「あれは、彼女を指した言葉なんだ。」
「はぁ?」
「彼女は、小さい頃から魔力が高くて。それに———」
俺は手で殿下の話を遮った。
「それ以上は、本人の口から聞きます。」
「・・・君は、本当に・・・。」
「はい?」
彼はゆっくりと首を振り、目を閉じた。
そして何かを決意したかのような眼差しで俺を見てきた。
「彼女には手助けなど必要ないのかもだけれど・・・ヴォルク・マーキス・ヴァルノー。」
「・・・はい、殿下。」
急にフルネームで呼ばれた。
どうしたんだ?
殿下は寂しげな笑みを浮かべ、口を開いた。
「彼女のこと、よろしくね。」
「一体、どういう・・・」
殿下はそれ以上何も言わずに俺の前から立ち去った。
そしてしばらく経ち、殿下はあいつとの・・・ロウランとの婚約を破棄した。




