二十六話
久しぶりの投稿です。
あいつの父親である公爵がはテキパキと周りに指示を出した。
向こうからこの前見かけたやつ・・・確かあいつの兄と弟・・・だったか。が駆け寄ってきた。
そして焦ったような顔で兄の方があいつに声をかける。
「ロウ!大丈夫かい!!?・・・怪我をしてるじゃないか!!早く手当を・・・」
「僕が、回復魔法、かけるよ。」
弟の方があいつに回復魔法をかけ始めた。
あいつの顔を見ると、笑ってはいるが顔からは血の気が引き、青白い。立っているのもつらそうだ。
こんな時にも無理して気味悪りぃ笑顔作りやがって。
なぜだか非常にイライラした。
誰に?
なぜ?
わからない。
「ヴォルクさん。」
あいつが俺に話しかけてきた。
「あ゛ぁ?」
「先陣、きってくださいよ。」
「・・・チッ。」
このイラつきを魔物共に当てるのもありか。
俺は魔物の元へ突っ込んだ。
「死ねや。」
ボソリとそう呟いて手の上に炎を出す。
そして手を振った。
炎は一直線に魔物の群れへ突っ込み、爆ぜた。
炎属性の魔法は、広範囲殲滅に向いている。
俺は苛立ちを炎へと変えて魔物共を殲滅し続けた。
「ウゼェなぁ・・・。ムカつくなぁ!!」
一際大きい炎を出して上空へと上げた。
バァアアアアン
と、大きな音を立てて炎は上空で爆ぜた。
魔物たちは一瞬そちらに気を向ける。
「隙だらけなんだよ。雑ぁ魚。」
俺の手のひらから炎で形取られた剣が勢いよく飛び出して魔物たちに次々と突き刺さっていく。
俺の周りには魔物がいなくなった。
あいつの方を見ると、怪我は完治したらしくこちらの視線に気がつくと笑いながらこっちに手を振ってくる。
「ヴォルクさん。代わってください。」
「あ゛?大丈夫か?」
「えぇ。」
「そうかよ。」
あいつは片頬をあげてこっちに近寄ってきた。
「全部殺して差し上げましょうか。それが彼らの望みなのならば。」
あいつによる殺戮が始まった。
〜アゼルナの視点〜
「ねぇ、戦闘狂。お嬢様はどうなさったのかしら?」
私がそいつにそう問いかけると、そいつはお嬢様を見たまま答えた。
「お前も、おかしいと思うか?」
「えぇ。なんだか、いつもより・・・なんというか、雰囲気が違うわ。」
なんか・・・上手くは説明できないのだけれど、いつもとはなんだか違うのだ。
何があったのか。
私はあの戦いの一部始終を見た。
お嬢様はあいつから何やら攻撃を受けたようで、先ほどまで腕から血を流していた。
「やっぱり・・・それが原因かしら・・・。」
「あ゛?」
「さっきの戦い、変だと思わない?いつものお嬢様なら、あんな攻撃くらわないと思うのよ。」
「なんか喋ってたみてぇだけど、いまいちよく分かんなかったんだよなぁ。」
なんですって?
私には何かを喋っていたのは分からなかったわ。
・・・やっぱりこいつはおかしいんじゃないかしら。
人間じゃないとか?
「わかったとこだけでも教えてちょうだい。」
そいつは初めてこっちを向いた。
「禁忌魔術、あいつ、カミサマ、罰、世界、私のため、殺す、邪魔、俺が分かったのはそれだけだ。」
「禁忌魔術?聞いたことないわね。」
「俺もだ。あいつは、わかったみてぇだがな。」
高位貴族しか知らないものなのかしら。
でもそれならどうしてこいつは知らないの?
「あんた、侯爵家の一員でしょう?知らないの?」
「俺んとこは商売ばっかやってっからよ、政治にはあんまし関わってねぇんだわ。だから貴族の裏事情とか、しらねぇし、知ろうともしてねぇ。・・・少なくとも・・・今まではな。」
「あんた、最近王子様と仲がいいんでしょう?聞けないの?」
「そうだな・・・。聞いてみるか。・・・ちょうど、そこにいるしよぉ。」
後ろを振り返ると、そこには王太子殿下がいた。
戦闘狂ってば、どうして気付いたのかしら。
やっぱり人外?
戦闘狂はあの商売人の笑顔をして殿下に話しかける・・・と、思ったが、違った。
私たちと話すときのような態度で話しかけたのだ。
「殿下。ちょっと聞きたいことがある。」
顔を顰め、乱暴な言葉遣いを彼は王太子殿下に向かってした。
一体どうして?
殿下は少し驚いたような顔をした。
「君が僕に素を見せるなんて、珍しいね。」
殿下も、前より砕けた話し方をしている。
いつの間にか、仲良くなっていたようだ。
そういえば、入学式の時は一人称、俺だったよねぇ・・・。
喋り方も今はなんか好青年って感じだし、印象が『王族』にならないように気を遣ってんのかな。
入学式のあれだと王族感満載だしね。
「それで?聞きたいことって?」
「禁忌魔術ってのは、なんだ?」
殿下の表情から笑顔が消えた。
「それを、どこで聞いた?」
『王太子』へと雰囲気を変えて、殿下はそう、問いかけた。
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