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公爵令嬢は普通になりたい  作者: 月乃夜
第一章 公爵令嬢 ロウラン・デューク・ノヴェユール
28/62

二十五話

しばらくたってまた会場に向かうと、反対側にはオースウェン嬢がいた。

こちらに気が付くと、口角を頬が裂けたように見えるほどあげた。


「あら。ロウラン様じゃないですかぁ。うふふ。運がいいですわぁ。」


気色悪い話し方。

以前はこんなんじゃなかった気が・・・


「それでは試合、始め!!!!」



今までの授業を見ている限り、彼女が私に勝てる可能性はほぼない。

いつも通りやればかて———


「勝てるって思いました?確かにこの試合には負けるかもしれませんが・・・」


濁り切った目がこちらを捉えた。


「最後に勝つのは、私。」

「?何を言って・・・っ!!」


まだ詠唱をしていなかったのに、魔法が飛んできた。

急いで回避し、鑑定する。

その属性は・・・





鑑定不能。





私の知らない、未知の属性。


もしくは・・・



「禁忌魔術・・・。」

「あら?正解!!お詳しいんですね。」

「どこからその魔術の知識を手に入れた!?っ!今すぐ使用をやめなさい!!じゃないとあなたの体は・・・!!」


ニタニタの笑っていた彼女は、急に真顔になった。


「私の体が・・・なに?」


急に地面から赤黒い蔦が出てきた。

回避できず手足を拘束され、地面に叩きつけられる。


「っ!」

「いい気味ね。それで?私の体がどうなるっていうの?」

「それは・・・」

「答えなさいよ!!」


彼女はナイフを振り上げ、私の腕に突き刺した。


「っ・・・!!!」


腕からは血が多く出て、感覚がなくなってくる。

熱い・・・。

早く、回復を・・・


ナイフが抜かれ、再度腕に刺された。


「っ・・・つ!!!!」

「早く・・・答えなさいよ!!」

「それは・・・できない。」

「・・・・・えぇ。えぇ、そうでしょうね。知ってますよ。知らせることは法律で禁じられていることも、いつか私の体が壊れるってことも!!!!」


知っていたのに・・・なぜ・・・。


だめだ。

痛みでうまく思考できない。


「でもねぇ。あいつは言ったのよ!!私なら、あいつなら!!壊れずにいられるって!!私の望む力を!!カミサマからなんの罰も受けずにえられるって!!私は壊れない。絶対に。・・・・・・・まずはあなたから殺してあげる。邪魔なのよね、あなた。・・・・・・この世界は、私のためにあるのに・・・。」


至近距離から、顔に魔法が放たれる。

急いで回避したが、頬に掠ってしまった。


深くきれていないはずなのに、なぜか血が多く流れる。

おかしいな。

一体どうして・・・



「っ!!」


痛い。

頭が割れるように痛かった。

痛い痛い痛い!!

な・・・に、が・・・起こって・・・


「これで私は最終的に勝つ。あなたの負けは確定したの。残念だったわね。」


痛みが急に治った。

でも、なんだか違和感がある。

なんだ・・・?


手足が解放された。

私は急いで立ち上がる。


「せっかくだもの。余興を開こうじゃない!!」


彼女は右腕をあげた。

その腕には小瓶が握られている。


薬・・・?


彼女は勢いよく振り下ろし、小瓶を地面に叩きつけた。

パリン、と小瓶はわれ、中から薄桃色の煙が出てきた。


甘ったるい匂い。


まさか・・・


「魔・・・香?」

「せいぜいもがき苦しみなさい!!」


ガシャァァアアアアン!!!!


大きな音と共に、会場の壁が壊された。


外から、大量の魔物が入ってくる。



「全員退避!!戦闘可能の者は戦闘準備!!!」


私は大きな声で叫んだ。


あたりで教師たちも叫ぶ。


「生徒たちは退避せよ!!」

「保護者の皆様も退避を!!!」


阿鼻叫喚。


教師だけでは戦闘力が足りない。

彼らが弱いわけではない。

魔物の数が多すぎる。



「先生、侯爵家以上の者は残すべきです。彼らには魔物との戦闘、民を守る義務があります。」

「わかった。」

「では、私が貴族の者を指揮しよう。」

「父上!!」


ファルター・デューク・ノヴェユール・・・私の父だった。


「こ、公爵閣下!!」


教師は慌てて敬礼をする。


「すぐに、戦闘に参加するものを集めよう。ロウラン。」

「はい。『彼の者の声を大きくせよ。拡声』」


これで父上の声が大きくなるはずだ。






学園での、大規模戦闘が始まった。

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