十六話
翌日、クラスで先生からお知らせがあった。なんでも、一週間後に全校生徒で大会をするらしい。
項目は全部で5つ。武術、魔術、知識、乗馬、マナー。この中から最低一つ選び出場する。私は魔術、知識、マナーに出場することにした。魔術部門では、オリジナルの魔法を発表し評価される。出場するからには優勝したい。
何にしようか・・・。
私はそんなことを考えながら廊下を歩いていた。
この時の私は、考え事に夢中で周りが見えていなかった。
パキッ!
足元で何かが割れたような音がした。足元を見るとそこには銀に塗られた木の棒が落ちていた。踏んでしまったらしくひび割れていた。なんでこんなとこに木の棒が・・・?
首を傾げていると甲高い声が聞こえてきた。
「ひどいわロウラン様!どうしてそんな酷いことするの!?」
「私、あなたに何かしましたか?」
「それはお婆さまの形見だったのよ!なのにそんなふうに踏んで壊すなんて!!」
そう言って彼女は泣き崩れた。
形見?これが?
「オースウェン様。見間違いではありませんか?本当にこれが、形見なのですか?」
「ひどい!私の身分が低いからって馬鹿にすることないじゃない!!」
話が通じない。イライラする。
「馬鹿にする?今の発言のどこが馬鹿にした発言だと言うのですか?」
「そんなふうに高圧的で威圧的な言い方ないでしょう!?」
「ですから、あなたが、私のどの発言からそのように思ったのか、教えてほしいと言っているんです。」
そんなふうに意味のない、はっきり言って無駄な会話をしていると、向こうから殿下が歩いてきた。
驚くべきことにヴォルクさんも一緒だ。
「ロウラン嬢、一体どうしたんだ?随分と騒ぎになっているようだが・・・?」
「私にもよく分かりません。ですのであちらの方に話を聞いてください。」
「あれは・・・、オースウェン嬢か。」
殿下は少し嫌そうな顔をして話しかけに行った。
「オースウェン嬢、何があったんだい?」
「まぁ殿下!聞いてくださいませ!」
あれ?さっきよりだいぶ元気そうだ。
やっぱり良くわからないな・・・。
「ロウラン様が私のお婆さまの形見のこれを踏んで壊したのです!」
そう言って彼女はさっきの木の枝とは似ても似つかない銀の髪飾りを出した。
あんなものを踏んだ覚えはない。
彼女の言葉を聞いた殿下はヴォルクさんの方を向いた。
ヴォルクさんは頷くと、スキルを使った。そして顔を顰めると、殿下に耳打ちした。周りには聞こえなかったようだが、読唇術で大体分かった。
———あの御令嬢の言葉に、真実はかけらもないようです。
にしてもヴォルクさんはいつの間にか随分と殿下と仲が良くなってるじゃないか。
すごいな。
ところで私はいつまでここに入ればいいんだろう。めんどくさいんだけどな・・・。
私はアゼルナの方を向くと口パクで戻ろう、と言った。
多分、あとはもう大丈夫だろう。
そう思って私はその場を後にした。
後ろから、ものすごく恨みのこもった目で見られていることにも気が付かずに。




