十五話
久しぶりの投稿。お待たせしました!
「父上、どうします?」
「姉様が、傷ついた。許してはいけない。」
イルバは淡々とそう言って、無表情のまま氷魔法でナイフを作り、父上の方を見た。
「今から、すぐに、犯人を殺「やめなさい。」
父上がイルバの声に被せてそう言うと、イルバは不機嫌そうにナイフを手の中でくるくると回した。
父上が止めてくれて良かった。いくらなんでも殺すのはまずい。
「なぜですか。」
兄様が父上にそう問うと、父上は無表情のまま答えた。
「すぐに殺しては大した罰にはならんだろう。」
「なるほど。」
納得しないでくれ、兄様。そして父上も。後ろでアゼルナもうんうん、と頷いている。
アゼルナ、お前もか。やめてくれ。確かにされたことは罰を受けるに値する。だが私刑にするのは良くない。この面子でやると洒落にならない。
不味いな・・・、犯人さんの精神の危機だ。常識人の母上がここにはいないし、一体誰がこの人たちを止めるんだ?
「父上、兄上、イルバ。そんなことする必要はありません。こんなくだらないことで皆さんが手を汚すことはありません。私は大丈夫ですから。」
私がそう言うと、父上は眉間に皺を寄せ私の方を向いた。
「お前がそう言うのならば今回はいいだろう。ただし、この件については調べさせてもらうぞ。」
「はい。わかりました。」
「姉様、後で作り直したものを送ります。」
「ありがとう。」
「ロウ、またなんかあったら隠さず相談してね?」
「はい、兄様。」
「ではな。学園生活を楽しむんだぞ。」
そう言って父上たちは転移した。犯人さんの危機は回避した、そう思って後ろを振り向いたが・・・危機はまだ去っていなかったようだ。アゼルナが殺気ダダ漏れの状態で、淡々とドアに近づいていった。
「アゼルナ、何しに行くの?」
「お仕事をしに行ってきます。」
絶対侍女の仕事じゃなくて暗殺の方だ。誰か〜!アゼルナを止めてくれ!
そう思っていると、ドアの向こうから声がしてきた。
「あー、入ってもいいか?」
「ヴォルクさん、どうぞ。」
よし!常識人が来た!助かった〜。
ヴォルクさんはアゼルナを見てびっくりしたようだ。
「お、おい、暗殺者。どこへ行くんだ?」
「あぁ、戦闘狂じゃない。お仕事しに行くのよ。」
それを聞いたヴォルクさんは眉間に皺を寄せた。
「仕事って、お前、殺気だらけのまま?」
「まぁ、それじゃ仕事に支障が出るわ。相手にバレたら困るもの。」
アゼルナはわざとらしく頬に手を当て首を傾げた。
「お前、誰を暗殺しに行くんだ?」
「犯人よ。」
「まだ誰だかわからないだろう?」
「怪しい奴らを全員とっ捕まえて旦那様に渡すのよ。」
「怪しい奴らって・・・何人くらいいるんだ?」
そう聞かれるとアゼルナは少し考えるそぶりを見せ、そして答えた。
「5人くらいしかいないわね。」
「そいつらの未来は?」
「さぁ?無実が証明できたら無事に帰れるわ。・・・多分。」
「多分ってなんだよ!」
「完全に無実を証明できるのはいないな〜って。そういうことで、行ってくるわね。」
アゼルナが部屋を出て行こうとすると、ヴォルクさんが慌ててアゼルナを止めた。
このままだと5人はもう学園に戻ってこれない。
「待て待て待て!」
「何?戦闘狂、邪魔なんだけど。」
「当たり前だ。邪魔してるんだから。」
「何?」
「いいのか?今やって。」
ヴォルクさんがそう言うとアゼルは首を傾げた。
ヴォルクさんはコソコソと何かを言い始めた。
「いいか?怪しいやつの中にはお貴族サマもいるだろう?」
「えぇ。」
「今殺ると確実にロウランに悪影響が出るんだぞ?いいのか?」
「っ!それは良く無いわね。」
ヴォルクさんが頷くとアゼルナが戻ってきた。
「今日はやめとくわ。」
良かった。ヴォルクさんがなんて言ったのか知らないが、一件落着だ。
私はそう思った。
だがこの後も事件は続くのだった。
いつもより短いです。




