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公爵令嬢は普通になりたい  作者: 月乃夜
第一章 公爵令嬢 ロウラン・デューク・ノヴェユール
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九話

私達はSクラスへと向かった。この学校は4階建てで、Sクラスは2階の廊下の突き当たりにある。私が教室に入ると・・・

「っ!」

魔力を宿した羽ペンが飛んできた。咄嗟に魔法で防いだが、当たっても別に問題はなかっただろう。最低レベルの魔力しか宿ってなかったから。

「やるじゃねぇか。」

「お褒めに預かり恐悦です。」

「まぁ今のは防げて当たり前だな。なんせ、Sクラスだもんなぁ。」

いちいち勘に触る言い方だな。Sクラスってこんなクラスなのか?

「そうですね。この程度、防げて当たり前です。ですからーー」

私は少し強めの魔力をそのまま勢いよく飛ばした。

「やるならせめてこれくらいに威力はなくてはいけませんね。」

「っ!テメェ何しやがる!!」

ギリギリのところで防げたようだ。私が反撃すると思わなかったのかな?

「何って、先輩が教えてくださったことを実践しただけですよ。」

「はぁ?」

「Sクラス並みの生徒にはこれくらいやって問題ない、ということを教えてくださったのでしょう?」

嫌味たっぷりににこりと笑う。

「言うじゃねぇか。だが甘いな。俺を怒らせた時点で、ここにいる奴ら全員が敵だ。嫌味を言う場をもっと考えとくんだったなぁ。」

周りの奴らが魔力を纏わせたのが感じられた。どうやら戦いを挑まれているらしい。だったら私の取るべき行動は一つ。

私は素早く窓に駆け寄り、裏庭に降りた。

「テメェ、逃げるのかよ。俺らに勝てる自信がないってか?安心しろ、そこまで全力はださねぇからよ。」

ふふ、馬鹿にされてますね。だんだんむかついてきました。

「何を言うかと思えば。私はたった今戦いを挑まれたのでしょう?ですからより戦いやすいように下に降りたのです。さ、早く戦いましょう。」

「テメェひとりで勝てるとでも?」

「魔法の使用はありですか?」

「舐められたもんだな。あぁ、なんでもありだ。ただし殺すのはダメだな。まぁ、テメェの攻撃が俺に効くとも思えねぇけどなぁ。」

「わかりました。さ、早く降りてきてください。」

ええと・・・ヴォルクさん、かな?は、周りの人たちに声をかけてひらりと降りてきた。

いつの間にか裏庭には人が集まってきている。

「え、なになに?」

「Sクラスの人たちと、新入生が戦うらしいよ。」

「なにそれ、一瞬で終わりそう。」

「でもSに入った新入生でしょ?」

あぁ、こんなに集まると危ないな。攻撃を回避したら他の人に当たっちゃう。

バリアバリアっと〜。

「これで問題ないですね。」

「あぁ。」

「合図は誰が・・・?」

「じゃぁそこの女、やれ。」

アゼルナのことだ。ふざけるな。彼女を悪く言うなら手加減の必要はない。

「は、はい。それでは、よ〜い、始め!」

ヴォルクさん以外は邪魔だな。彼の実力が見たいし。よし、少し吹っ飛んでもらおう。

高風圧(ハイエアブレス)

「・・・は?」

ヴォルクさん以外は全員吹っ飛んだ。私は結界を張り直し、吹っ飛んだ人たちも結界内に入れた。

「あ、大丈夫です。少し吹っ飛ばしただけですから。」

「チッ、テメェ俺に喧嘩売ってんのか?」

「先に喧嘩売ったのはそっちでしょう。私は喧嘩を買っただけです。」

「俺に本気を出させたこと、後悔させてやる。テメェみたいな雑魚、俺に敵うわけねぇからな。」

は?馬鹿にするのもいい加減にしろよ、ふざけんな。

「ふふ、少しは楽しませてくださいね。」

「舐めやがって!ふざけんなよ・・・!『火炎槍(フレイムランス)』!」

なるほど、火属性が得意なのか。しかもなかなかにハイレベルな魔法だ。さすがSクラス。普通の人ならこれで怯えて降参してしまうかも。

「でも・・・」

氷陣(アイスエリア)

あたり一帯を氷のフィールドにして、相手の炎を消す。私は水、氷属性が得意なのだ。

私がパチンと指を鳴らすと氷のフィールドは割れて舞い上がり、キラキラと氷の結晶が辺りへと舞い散った。

紫雷電(しらいでん)

「っ!『光結界(シャインシールド)』!」

ヴォルクさんは光属性で結界を出し防いだ。咄嗟にどの属性を使うか判断できるのは素晴らしい。

「テメェなかなかやるじゃねえか。」

「あなたこそ素晴らしい。なかなかやりますね。でもーー。」

「は?」

「残念、相性が悪かったですね。」

「何を言ってーー」

召喚・胡蝶サモン・ファレノプシス

私は魔獣を読んだ。魔力で形取られた美しい蝶たち。そして続け様に詠唱する。

『蝶の眠り』

「少しの間、眠っていてくださいね?」

「なに、・・・をっ・・・!」

バタンとヴォルクさんは倒れた。もともと、彼のように攻撃に特化した魔法は私のような戦い方をする相手には負けやすい。でも予想より長く続いたし楽しかった。

「お疲れ様でした。ロウランさん。」

「アゼルナか。うん、意外と疲れたね。なかなかに強かったし。」

入学して早々に戦うなんて、酷い目にあった。結構勝つのに苦労したし。意外とSクラスってこういう感じなんだな。

「えぇ、予想外でした。彼のこと、詳しく調べておきますか?」

「いや、いいよ。彼とは是非ともお友達になりたいしね。」

「わかりました。」

「さてと、『結界解除』」

騒がれるのも面倒だから私はヴォルクさんを連れて医務室に転移した。

「久しぶりに楽しめたよ。ありがとうね、ヴォルクさん。」

彼とは是非友達になりたいところだ。

私は一度医務室を去った。

そこまで酷い目にあってないかも?って、こ、これからですよ!これから酷い目に遭うんです!

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