八話
学校長の挨拶の後は、生徒会長の挨拶だった。
「みなさん初めまして。生徒会長のイヴァン・アール・スティアートです。」
生徒会長、イヴァン・アール・スティアート。蒼銀髪に水色の目。いつもニコニコ笑っているそこの知れない人物。何回か社交界で会ったことがあり、彼への印象がそれだ。フレンドリーな雰囲気だが、佇まいには隙がない。油断ならない人物だ。
「この学校は魔法を学ぶための学園です。ですので貴族と平民で分けたりせず、みんなで仲良く学園生活を送りましょう!」
半分以上聞いてなかったが、いいことを言っていたのは確かだ。権力を振り翳したい貴族以外には、だ。
最後はルパートの挨拶のようだ。
「新入生代表のルパート・シャドネイルだ。」
ミドルネームを抜かした。つまり学園では王族としてではなく一人の生徒として接してほしい、そういうことだろう。
「ここは学ぶための場所だ。さまざまな身分の生徒が集まる。だからこそ、ここでは身分がどうこうではなく、平等に接するべきだと俺は思う。身分が高い、低い関係なく優秀な人はいる。だからこそ、身分の高い者は身分に関係なく接し、優秀な人材を見分け、将来に役立てるべきだと思う。」
いいこと言うじゃないか。今の言葉で、支持者が増えるだろうな。貴族にも反感を持たせにくい言い方だ。
「皆で良い学園生活を送ろう。以上だ。」
拍手喝采。この調子なら良い王になれるだろう。成長したな。
「これで入学式を終える。学園は全寮制だ。部屋割りとクラスは各自表を見ておくように。それでは全員退場。」
会場を出て私は表を見に行った。
この学園は実力主義だ。最初のクラスは試験の結果で決められた。しかしクラスはどんどん変わっていく。年に4回ある試験だけでなく、生活態度や何回かある発表会なども入れて学期末にクラスが変わる。
クラスはS〜Eまでの六クラスだ。Sに近づけば近づくほど実力があるということだ。Sクラスは二年生から入ることが多い。というか一年生でSに行く人はほとんどいない。
この学園は学年合同だ。つまりすべての学年の人が混ざってクラスができる。Sに近づくほど高学年が多い。
【一年生 クラス表】
S
ルパート・エンペル・シャドネイル
ロウラン・デューク・ノヴェユール
アゼルナ・ノヴェユール
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・
あ、アゼルナと私は同じクラスだ。あと、ルパートも。Sか〜、上級生と話し合うかなぁ・・・。
「ロウラン様、一緒のクラスで嬉しいです。」
「様は禁止だと言っただろう?」
「えと・・・、ロウランさん?」
「まぁいいよ。」
?なんか急に騒がしくなった。どうしたんだろ。
「嘘だろ、新入生がSに入るなんて・・・」
「あり得ない・・・」
あぁ、そういうこと。気にしなくていいか。
「ロウランさん、なんか近寄ってくる人がいるんですけど・・・。」
ん?あ、目が合った。なんか睨まれてる?とりあえずこの場を離れよう。
「アゼルナ、クラス行こうか。」
「は、はい。」
うん。追いかけられてるね。
廊下で私はくるりと振り返った。
「何か御用ですか?」
「お前らが、Sに入ってくる新入生か?」
「ええ、それが何か?」
「ずるしてねぇだろうな。」
「ずる?なんでそんなことを。」
「新入生がSに入れるわけがねぇ。」
「そうですか。疑うなら、先生にお聞きください。」
彼は眉に皺を寄せた。
「まぁいい。実力がなけりゃ、叩きのめすだけだ。」
「そうですか。」
いつも通り、笑顔で応答する。
「俺はヴォルク・マーキス・ヴァルノーだ。」
黒髪に黒い切長の鋭い目つきをした彼はヴォルクさんというらしい。会ったことは・・・ないな。
「初めまして、ロウラン・デューク・ノヴェユールです。」
鼻を鳴らして彼は去って行った。
「さすがの対応です。」
「顔は平気だったかな。」
「はい。いつも通り完璧な作り笑いです。」
「そうか。」
私たちは歩き始めクラスへと向かった。
この後酷い目に遭うとも知らずに。
皆さんもうお気づきかもしれませんが、この話での貴族の人のミドルネームはその家の爵位を表しています。
王族・・・エンペル
公爵・・・デューク
侯爵・・・マーキス
伯爵・・・アール
子爵・・・ヴァイカウント
男爵・・・バロン




