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後藤一家の事情  作者: 奈々篠 厳平
七章
48/50

~ 北野と歌内 ~ 4

 金曜日になり、善狐(まさつね)白狐(びゃっこ)の父親である狸太(ゆきひろ)は中央図書館の入り口近くで車を停めていた。

約束通り、歌内と北野を車で迎え入れて市内にある図書館を回り資料を集めるのを計画していた。

少し(ばか)睥睨(へいげい)して彼らが来てるかどうか確認していると、遠方から挙動不審(きょどうふしん)な男一名を目に入り狸太は外部から見えぬように(うずくま)った。

そして爪先(つまさき)を器用に使い窓を1センチ程開け、聴取を試みた。


???:───此処か?昨日襲撃された場所は。絶対に今度こそ1人でも蜂の巣にしてやる、ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…。


狸太は焦っていた、用心として鞄の中に鉈が入っており()し所持しているのをバレたら間違いなく大量の鉛弾を食らうだろうと思った。

と、どこからか大勢の喊声(かんせい)が聞こえ、鉈の刃が当たる音と共に挙動不審(きょどうふしん)な男の無さげの籠った声が聞こえてきた。

その男は斬られた痛みからが大いに叫び、暫くして声帯にまで達した時には血が飛び出る音しか聞こえなくなった。

そして静かになった時に体を起こし外の様子を伺った。

やはり、征伐派に斬首されており短機関銃を持っていた男は首を失った状態で横たわっていた。

と、駆け足で車に向かってくる歌内と北野を見掛け、シートベルトを着けて姿勢を整えた。

そして乗車するなり北野は言った。


北野:お、恐ろしいものを見てしまった…。

狸太:知っている、(さぞ)トラウマになっただろう。


そしてゆっくりアクセルを踏み、市内にある図書館を巡った。

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