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後藤一家の事情  作者: 奈々篠 厳平
六章
39/50

~血の金曜日~ 3

 ハヤトはタンポポを探していた。

そして校舎に沿って歩き回っていると彷徨(うろつ)いているタンポポを見つけた。

タンポポは一寸木さんと長谷川さんと共に廃れた校内を見て回り、丁度帰るところだった。

矢張(やはり)廊下には多数の遺体がちらほら転がっており、生徒同士が虐殺を行われていることが明瞭(めいりょう)であった。

更に職員室へ向かうと、書類や道具などが散乱しており机も一部壊されていた。

床には5年2組担任の鈴木(すずき)樹野(じゅの)(うつぶ)せの状態で撲殺されていて、4年2組担任の室野(むろの)心音誉(こねほ)と1年2組担任の冬山(ふゆやま)(あきら)が裂傷だらけで見つかった。


ハヤト:僕が居ない間に何が起きたんだ。

タンポポ:朝休みの時、いきなり謎の集団が校門からズカズカやって来て刃物で校庭にいた人たちを襲ったの。んで“命が欲しければ手伝え”って脅されて子供たちも渡されたナイフで人を襲ったの。そしたら別の集団がやって来て銃を乱射してきたんだ。

ハヤト:…どうゆうことだ。

長谷川:つまり、ここも戦場になった訳だ。全く、何ちゅう傍迷惑(はためいわく)な事だ!

一寸木:でも…皆無事でよかった。


ハヤトは暗い顔をしながら俯いていた。

一寸木はハヤトが体育館から来たことを思い出し察してしまった。

タンポポはハヤトに問い掛けた。


タンポポ:ところで、茶狐(やしながみ)さんの所へ行った?

ハヤト:いや…それがどうした。

長谷川:…直接行った方が良い、ポポタン【タンポポの渾名】、付き添い宜しくな。

一寸木:ハヤト、一度深呼吸した方が良い。


ハヤトは(ゆっく)り呼吸を整えてタンポポの腕を掴んで保健室へ向かった。

保健室に入ると、そこは沈黙が漂い殺風景で清潔のある簡易的な診察室がハヤトの目に映った。

然し肝心の茶狐(やしながみ)先生が周り見ても見ても見当たらなかった。

と、タンポポは急に叫んだ。


タンポポ:ヤシコーーーーーン!!!

ハヤト:馬鹿、煩いよ。

タンポポ:いや、そうじゃないと…。


保健室の端に置いてあった事務机が矢庭に揺れ出した。

そして机の下から茶狐先生が(くしゃみ)をして出てきた。

茶狐先生は可也(かなり)険しい顔をし乍ら2人の顔を眺めた。

そしてその人がハヤトとタンポポだと分かった途端、筋肉を弛ませ笑顔になった。


茶狐:どう致しましたか?

タンポポ:…ハヤトにもアレ、伝えた方が良いのかな。

茶狐:そうね…ハヤト、(こころよ)くして聞いてほしい。ユウタは…病院のすぐ近くの更地で死んでいた。現場を見たけど明らかに野晒(のざら)しだった、高気圧酸素療法もされず更に後頭部に凹みがあって…(まる)で化け狸だと発覚した上で杜撰に扱ってる様な感じだった。


ハヤトは何故か(うす)(わら)いしていた。

茶狐先生の言ってる事は全て出鱈目だと思っていたのであった。

然し、運ばれた先の病院名を聞いた途端、一気に真実だと確信してしまった。

そこは昨日ボウガンの矢を抜く為に向かった所で河岸の父が殺害された病院であった。

そう、あの病院は征伐主義者専用の治療施設へと化していた。

ハヤトはただただ茫然としていた。

そしてタンポポに向けて話した。


ハヤト:ねぇ、頓服薬ある?貸してよ…。

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