表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後藤一家の事情  作者: 奈々篠 厳平
六章
37/50

~血の金曜日~ 1

 金曜日、ハヤトは寝坊してしまった。

兄弟に置いて行かれた怒りを込めながら、檳榔子黒(びんろうじぐろ)粮嚢(ランドセル)を背負い急いで通学していた。

そして校舎に入り、運動靴から上履きへ履き替えようとしていた時だった。

靴棚に寄りかかり、流眄(りゅうべん)してくる河岸がいた。


ハヤト:…どうした、浮かない顔をして。

河岸:君に2つ、伝えることがある。今すぐ茶狐先生の所へ行く事と、それを終えたら直ちに早退してほしい事。

ハヤト:保健室へ行くのはまぁ分かるが、何で直ぐ帰らないと行けないんだ?

河岸:理由は言えない、兎に角今日は帰れ。

ハヤト:納得いかんっ!教室に行く!

河岸:馬鹿っ!やめろっ!!


河岸は不意に声を荒らげてしまった。

 顰蹙(ひんしゅく)(なが)らハヤトは教室に入ろうとしていた。

すると、(なまぐさ)い臭いが戸の隙間から漂ってることに気付いた。

ハヤトは察してしまった。

“教室内に誰かが死んでいる、即ちここでもジェノサイトが起きてしまってる”

恐る恐る引き戸を開けると、そこには(うつぶ)せの状態で血に(まみ)れて数十ヶ所創痍(そうい)を付けられた倉野先生がいた。

ハヤトは急いで倒れている先生を揺すり安否を確認しようとした。

ところが揺すった途端、倉野先生の頭が取れて転がっていった。

ハヤトは、これは夢であると自分に信じ込ませ苦笑いし乍ら黒板に向かって何度も頭突きした。

そして痛みを感じたと分かった瞬間、何も考えられなくなった。

と、近くに気配を感知して狂った様に周りを見回した。

─────河岸だった。


河岸:…矢張(やはり)発狂してしまったみたいだ。これ以上精神が壊れていくの、私は見たくないの。お願い、親元のところへ行って。

ハヤト:何だよ、僕がキチガイって言いたい訳?それより皆は何処だ!!

河岸:…集団下校した、だから───。

ハヤト:(うそ)()くな!どっかにいるんだ、どっかにいるんだ!!


ハヤトは廊下を走っていった。

河岸は(おもむろ)に倉野先生の遺体の(そば)に寄り、(かが)んで語りかけた。


河岸:ごめんなさい、守れなくて…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ