~歯車が壊れる頃に~ 4
彼の言った通り、小学校という陳腐で狭隘なる場所で勝木善狐の死をキッカケに2つのイデオロギー集団に分かれてしまった。
片方は、危害を与えかねない化け狸を追放、又は根絶やしすべきという思考の集い《征伐主義》。
もう片方は、伝承という旧弊を絶ちきり化け狸を無害と主張し保護、革新すべきという思考の集い《保守主義》
これ等の主義団体に共通する点は、己とは異なる思考をする者は関係性問わず敵と見なし直ちに処する事、主義団体の首長の計画及び多数の言いなりに従いどんな手でも目的を達成させる思考、等が挙げられている。
仮にそこに両方の意見を受け入れる又は両者の考えを否定する謂わば中道主義者が居たとしたら、その人はどちらかに属して追従するか此処で死ぬかの2択を強いられるので存在しないに等しかった。
更に、生徒達だけでなく家族や兄弟、担任の先生から近隣住民までそれを耳にして主義団体に参加してしまい急激に悪化する一方だった。
翌日、ヒロトは何時も通り学校に通い自分の教室へ向かおうとしていた。
2階に上がった時、異様な物音...いや複数人の喚き声が遠くから聞こえてきた。
恐る恐る向かってみると、多目的室からだと判明した。
戸の隙間から覗いてみると、隅で人集りが出来ていた。
然し様子がおかしい、数人ほど哀哭してる声が微かに聞こえる。
ヒロトが不安そうに見ていると、一人こっちを向いて覗いてるのを指摘してきた。
間もなく、ヒロトは強引に人集りの中へ入れられた。
其処にいたのは身包み剥がされて細い打撲傷と裂傷が可也付いた羽村と村坂と冨高が踞って震えていた。
変に動いたり声を出そうとすれば他者から蹴られたり踏まれたりして身動きも碌に出来たものではなかった。
而も恐ろしい事に、一層抵抗しづらくする為に先程まで小学生宛ら集団で3人に対し性的暴行を加えられていた為最早風前の灯に近しい状態だった。
ヒロト:どうゆうことだ!彼等に何をしたんだ!
小野塚:何をしたって?お仕置きだよ、“目には目を”って言うではないか。
ヒロト:確かに、3人は僕を散々虐めてきた。でも…こんなの度が過ぎてるよ!
小野塚:黙れ、こいつらには此れぐらい…否もっと甚振るべきだ!ところで、北野と歌内は?
本田:今日は…欠席らしいっす、残念。
小野塚:あらま、手下を置いて逃げられちゃったみたいだね。んじゃ…。
本田:フィナーレという事ね、分かってるって。
そう言ってズボンのポケットからベレッタM950を取り出し堂々と見せびらかした。
周囲はそれを見て感嘆を挙げたが、ヒロトは必死に止めようとした。
然し何者かに羽交い締めされてどうすることも出来なかった。
本田:お前ら、トレパネーションって知ってる?頭蓋骨に穴を開ける治療法の一種なんだよ~。
ヒロト:おい!何する気だ!!その銃はどっから手に入れた!!
本田:…じゃあなクソッタレども。
銃声は多目的室の壁を揺るがす程響き、それが連続的に続いた。
羽村と村坂と冨高は─────頭部を中心に撃たれ即死だった。
そして何事も無かったように周囲の生徒達はどっかへ行ってしまった。
ヒロトは動かなくなった3人を呆然と見ては流涕していた。
ヒロト:どうしよう…善狐の兄ちゃんが言った通りだ、みんな螺飛んでやがる。
そう言って頓服薬を一錠飲んだ。




