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後藤一家の事情  作者: 奈々篠 厳平
五章
26/50

~歯車が壊れる頃に~ 1

北野:嘘だと...言ってくれ、こんなの...悪夢だ...嫌だよ.........かちぎ...かちぎ...。


 翌日、北野は何故か教室の隅っこで仔犬の様に震えて啼泣(ていきゅう)していた。

昨日までは利己(りこ)主義を貫いて悪事を働いていた人が今日は打って変わって(うずくま)って(むせ)ぶとは何事だと北野を囲う様子でクラス一同眺めていた。

と、歌内が割り込んで来て言った。


歌内:おい!見世物じゃねぇよ!はやぅ席ぃ着けあ゛あ゛!!

生徒1:っ゛る゛せ゛ぇ゛!!おめぇらさ...散々人の心をグッチャングッチャンにしてよぉ...こーゆー時に常識人ぶった事言ってんじゃねぇよ!!

生徒2:歌内、紙の王冠被ってた北野を何故(かば)う?仲間か?なら鴨が葱を背負ってるもんだ。鼻の骨へし折ってやるから来い。


歌内は(たむろ)してる所から退いた。

歌内は羽村と村坂と冨高を集めて何か話そうと思い、それぞれ呼び出した。

然し3人ども慰めるどころが北野を侮蔑したり、知らないふりをしたりしてきた。

歌内は一人っきりになった。

(そもそも)歌内は好んで北野に付いてきた訳ではなく、寧ろ逆で無理矢理...(いや)脅されて入ったに等しい事だった。

 歌内は元々は内気で動物好きだった。

特に獣妖怪として登場している狐、狸、鼬、猫等は神秘的で且つ格好(かっこ)いいという理由から入学当初からこっそり絵を描いたりお話を綴ったりしていた。

然し北野に見付かって以降無慈悲な虐めを毎日受ける羽目になり、心を(えぐ)られ(なが)らも(しの)いていた。

神経衰弱に近しい状態の歌内は耐えきれず北野に()めるよう伝えたところ、北野は「もし虐められたくないなら、俺の組織に入れ。」と言われ泣く泣く手下になった。

そして気付けば彼は弱いものならば人だろうか小動物だろうか容赦無く(なぶ)る最低な人間になっていた。

内心、こんな悪道な事は()めてあの頃みたいに絵を描いたりお話を綴ったりしていたがった。

けれど長い間弱虫を(なぶ)り続けてきた結果、罪悪感が快楽へと変わってしまい後戻りが出来なくなってしまった。

歌内は性格をひん曲げた北野を怨んでいた。

そして羽村も、村坂も、冨高も、北野に強制的に入れられ、無理矢理名の無い動物を虐待させるよう強いられ、心を歪んでしまった被害者であった。

なので、4人はやっとの思いで開放されて気儘良く過ごせるようになり、北野をゴミの様に見下していた。

...だが、歌内は()()()()()()()()があった。

歌内は踞っている北野に問い掛けた。

補足(架空のことわざ)

紙の王冠を被る:力が無い人が言葉や仕草で強者に成りきり、人々を支配したり手下にすること。

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