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後藤一家の事情  作者: 奈々篠 厳平
三章
16/50

~スクールライフ~ 5

 ヒロトは気付かぬ内に神経症を患っていた。

その証拠に、ただ名前を呼んだだけで過剰に驚く、前よりも明らかに落ち着きが無くなってる、人だろうと柱だろうと不意に体に当たっただけで身震(みぶる)いし(なが)ら失禁してしまう───など、可也(かなり)重たい症状が見られた。

向精神薬が手放せなくなり真面(まとも)に歩けず(よろめ)くヒロトを見て、公木と琴華は激怒した。

 朝、公木と琴華は職員玄関から入った。

そして受付の人に“蒲生先生と会わせたい”と告げ、せっせとスリッパに履き替えた。

受付の人は両親が般若の如く怒ってる事を察して慌てて蒲生先生とコンタクトを取った。

一家は応接室で待たすよう促され、公木は一刻千秋(いっこくせんしゅう)な気持ちで椅子に座った。


...


...


...ガチャンっ


蒲生先生は(おもむろ)に開けていた、何せ両親が激怒してるのを聞き可也(かなり)(おのの)いている為だ。

蒲生先生は静かに座り、慎重に対話した。


蒲生:えっーと、今回はどのようなご用件で───

公木:どうもこうも、ヒロトが神経症を患ってしまったことについてです!

琴華:何故ああ成るまで先生は助けてくれなかったんですか!!

蒲生:...正直言いますと、私はヒロトさんが精神疾患を患ってしまうまで虐めのことは一切存じ上げてませんでした。ですから...

公木:今まで知らないだと?!しらばっくれるな!何度もSOSを出していた筈だ!

蒲生:で、ですから...虐めとはそう分かりやすいものではなく───

琴華:生徒が1人2人居なくとも貴方は気にせず授業をするんですか?!違うでしょ!

蒲生:...()(かく)、最善は尽くします。なので理性を保って...

公木:絶対に、ヒロトを、死なせるな!

蒲生:...はい。


 公木と琴華は蒲生先生を睨み付け乍ら学校を後にした。

蒲生先生も疲弊(ひへい)しながら退室した。

ここまでボロクソに言われたのは初めてだった。

本当にヒロトが苦しんでるのを知ったのは向精神薬を持ち出し始めた数日前のことだった為、何処か心残りがあった。

と、其処へ出席簿を取りに来た3年生の一寸木(ちょっき)と出会った。

一寸木は応接室から異様に漏れてる見知らぬ人の声が聞こえたため寄っていた所だった。


一寸木:やべぇな。

蒲生:...結構怒っていたもんで。

一寸木:もしかして、後藤さんのお家の人?

蒲生:そうだ、私もヒロト君の為に頑張らないといけない。

一寸木:そうね、ポポタンも危ないし確かハヤトもユウタもヒロトの兄妹だっけ?

蒲生:そうだ。あ、朝の挨拶が始まるぞ。

一寸木:オ゛ア゛ッ!いっけなーい!


一寸木は急いで出席簿を取りに職員室へ向かった。

蒲生先生も朝の挨拶の為に其のまま教室へ向かった。

─────陰で公木と琴華が訪問してきたのをこっそり見ていた。

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