表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後藤一家の事情  作者: 奈々篠 厳平
三章
15/50

~スクールライフ~ 4

 翌日の朝、ヒロトは登校した。

生徒玄関に向かおうと校舎を沿って歩いてると上から何かが落ちてきた。

机、椅子、教科書、そして図画工作で熱心に作り上げた絵画やオブジェが次々と土瀝青(どれきせい)に強く叩き付けられた。

ヒロトは茫然としながらも上を見上げた。

窓には複数人の友がヒロトを見下す様に(わら)っていた。


北野:おめーの席ねぇからぁ!

村坂・歌内:ふはははwwwwソーダソーダwwwwww

冨高:こんな大事なもん捨てられちゃってさ、恥ずかしくないのかよ?...なんとか言えよ変態!

勝木:...。


ヒロトは黙って教科書を拾った。

そこには油性ペンやボールペンで、

『森へ帰れ!』

N(ねえ)D(どんな)K(気持ち)!キチガイ』

『ウンコ犬は来んな』

『寄生虫付きの本』

『毛皮になっちゃえば?』

と書かれていた。

更に机には彫刻刀で、

『バーカ』

『死ね』

『ウンコ』

『消えろ』

『二度と見たくない』

『化け物』

と刻まれていた。

椅子にも油性ペンで、

『生きてて恥ずかしく思わないのか?』

と大きく書かれていた。

ヒロトはその場で(うずくま)って啼泣(ていきゅう)した。

(しか)しそれでも(なお)(わら)い続けるし侮蔑(ぶべつ)を容赦なく投げ付けた。


 ある日の放課後の時、ヒロトはお手洗いから戻って来て教室内でランドセルを探していた。


ヒロト:どこだー、どこだー...?

勝木:ヒータン【ヒロトの渾名】、としだ?

ヒロト:あ、コンコン【勝木の渾名】。僕のランドセル知ってる?黒色の。

勝木:...たぷん、こーてー。

ヒロト:?


ヒロトは窓を覗いた、すると転がりの悪い何かで遊ぶ数人の友が校庭にいた。

急いで駆け付けると、矢張(やはり)ヒロトのランドセルでサッカーしていた。


北野:人のランドセルで遊ぶのは楽しいゾイ!

歌内:こいつ、転がりづれぇな。

羽村:じゃあリフティングすれば?

歌内:いいね、何回まで持つかな...(ニタリ)

ヒロト:ああああああああ!!!!テメー!何してんだぁ!!

村坂:ロットっ。歌内、返してやれ。随分遊び尽くしたし。

歌内:分かってる...よっ!行くぞ、ボールを相手の胸元(むなもと)にシュゥゥゥーッ!!


歌内はヒロトの胸に目掛けてランドセルを蹴り飛ばした。

ヒロトは何とか受け止められたがランドセルは傷と砂埃で(まみ)れていた。

ヒロトはランドセルを抱えた侭一人立っていた。

北野と歌内と羽村と村坂はそれを見て、

『『『『超!エキサイティン!!』』』』

と高らかに叫び、その場を去っていった。


 ある日の登校時、ヒロトは上履きを探していた。

其処に偶々(たまたま)6年生の山野と内村が訪ねてきた。


山野:あれ、後藤の弟のヒロトじゃない?

内村:この様子、何かあったに違いないな。

山野:ヒロト。

ヒロト:あ...、な、なんでゅ、何しに来た。

内村:一緒に探してあげる、困っているみたいだから。


山野と内村は一緒になって上履きの行方を探した。

他者の上履き入れも調べ、周囲も探し、恐る恐るとゴミ箱も確認した。

けれど結局見付からず、三人は朝からバテてしまった。

と、3年生の長谷川が3人を見兼ねた。


長谷川:どうした、朝からマラソンでもしたの?

内村:違う、後藤の弟の上履きを探していたんだ。

山野:色々探ったけど...

長谷川:それはお疲れ、そんなことより聞いてよ。登校する時に暇だったからさジャングルジムに行こうとしたらさ、妙に焦げ臭い匂いがブンブンしてさしゃーなくここに来たけどさ...

山野:焦げ臭い?やべぇんじゃね?

長谷川:だから先生に言おうと思ってさ、ここに。

内村:んじゃ、一緒に報告しよっか。

ヒロト:うん。


4人は職員室で異臭について報告した。

急いで駆け付けると、確かに照明塔辺りから焦げ臭かった。

確認すると...ヒロトの上履きが何故か新聞紙を詰められた侭の状態で小火(ぼや)になっていた。

直ぐに消し止められたが、上履きは鈍色(にびいろ)に焼けており使い物になれなかった。


内村:...一体誰がこんな惨い事を。

山野:犯人捜しはしたくない、けれど(これ)は度が過ぎてる。

長谷川:新聞紙詰めてる時点で確信犯やん。


ヒロトは焼け焦げた上履きを持った(まま)静かに流涕(りゅうてい)した。


 そして苛めはますます酷くなっていき、ある時は蚯蚓(みみず)()り潰した物を無理矢理呑ませたり、ある時は「ヨガファイア」と言いながら赤色の塗料スプレーで体操着や髪に吹き掛けてきたり、ある時は塩酸(えんさん)水酸化(すいさんか)ナトリウムを羽交い締めされたヒロトの口内で混ぜ合わせたり...と心身(しんしん)寸々(ずたずた)にされる程ヒロトは(なぶ)られ続けた。

 (しか)しヒロトは誰も相談しなかった。

何故なら、自分が化け狸である事を赤の他人に暴露されたくなかったからだ。

折角(せっかく)作れた友人も、片思いしてる女子にも、そして担任にも失望させたくなかったからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ