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炎罪のウロボロス  作者: あくえりあす
50/62

50、命無き”不死の軍隊”

プロジェクト・ウロボロス。

“ウロボロス”の名をこのプロジェクトに冠したのには無論それなりの理由がある。自らの尾を咥え、輪を描く一匹の蛇。その姿が象徴するのは不老不死だ。

脱皮を繰り返し成長を続ける蛇は、古来「死と再生」や「循環」「永続性」などの意味を見出されてきた。

我々が目指すのは不死の軍隊の創設だ。

もっとも、それを担う「兵士」たちは、もとより生きてはいないのだが……。

だが無論、その名を付けた狙いや企画意図は理解できる。

しかしである……。

私にはこれが象徴するものが、積極的な意味としての「不死」や「永遠性」にあるようには正直思えなかった。このウロボロスがプロジェクトに対して真に意味するもの。それは「繰り返し」だ。

「循環」や「永続性」とある点では同義であろうが、ニュアンスとしては、よりネガティブなものだ。

進歩がなく、これまで何度も犯してきた過ちを、また繰り返す。

自らの尾を食む蛇の姿からは、私にはそのような意味合いしか感じ取れなかった。

テクノロジーは間違いなく日々進歩している。

だが中身はどうだ? 

それを扱う人間のレベルは、この"停滞"ともいえる循環の中から抜け出せずにいるのではないか?

そう。私が今、最新の技術をつぎ込み、多くの時間を費やし、そして大いなる労力を払って全身全霊で取り組んでいるこのプロジェクトは、如何にも世界最先端を行くように見えて、だがその実態は、人類が営々と繰り返してきた野蛮極まりない行為を、性懲りもなくただなぞっているに過ぎない。


「社長。たった今、緊急情報が入りました。今から七分後に、サン・ディエゴの最高司令部より声明が発表されるとのことです」


秘書の声に、私は現実へと引き戻された。


「サン・ディエゴが?」


私は著しく困惑した。余りにも唐突で動きが性急すぎる。


「官邸に何か動きは?」


「いえ。今現在、官邸が記者会見を開く予定はありません」


日本政府との連携が上手く行っていないのか?

国際連携無しに、サン・ディエゴは単独で行動に移す気なのか?

バカな。


「サン・ディエゴが出す予定の声明だが、内容は現時点で何か把握できているものはあるかな?……あるとして、ああ……つまり、我々のビジネスに関連しているかどうかが気になるのだが」


「はい、社長。先程行われた各メディアへのブリーフィングでは、大陸における主権国家連合に関する極めて重要な案件で、と伝えられたそうです」


「そうか」


何か嫌なものを感じる。私は気が急いた。


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