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炎罪のウロボロス  作者: あくえりあす
22/62

22、黒い大きな塊

やがて点在していた家々の先に、大地に横たわっているような黒々とした大きな塊が見え出した。近付くにつれ、その正体が何なのか次第に明白になった。雑木林であった。それも割と広大な面積を誇る森林地帯の様であった。はじめは国なり地方自治体なりが運営管理しているような、しっかりとした公園の類かとも思ったが、敷地を隔てる柵のようなものも無く、手入れが余り行き届いているとは言い難いその様は、この土地本来の風景がそこにあるのを意味していることに私は気付いた。


この奥に行けば……。


私は唐突に何の根拠もなく確信した。私は、私が犯した取り返しのつかない罪から逃れられると。そこに広がる見慣れぬ風景を前にして、きっと私の脳みそはその場所を本当に、異世界やパラレルワールドなどと呼ばれる、法律などという人間が作った陳腐な取り決めなどは言うまでもなく、人知の及ばぬ全く未知の空間へと誘われたものと判断したのだろう。そしてそれが故か、木々に囲まれた道をその奥へとどんどん歩を進めていくと、私は次第に奇妙な高揚感に包まれていったのであった。


とはいえである。

自分こそが世界一不幸な人物であると思い込んでいた私であったが、実際には家族に守られていたのだ、ということを、それからものの1~2分で知ることとなった。

いや、そんなことを具体的に意識できたわけではないのだが……。

木々に囲まれた、舗装されているとはいえ、よくある農道のように細い一本道を奥へと進んでいくと、辺りはすぐに漆黒の闇に包まれていったのだ。

私は恐怖を覚えた。その理由は幼児が如きごく単純なものだ。ただ、暗いという、それだけのことだ。

「お化け」の類がそこかしこに潜んでいるのではないか?

それが自分に襲い掛かってくるのではないか?

ほんの数分前に感じた高揚感など疾うの昔に消え失せ、早くも私は引き返すべきか否かで真剣に悩み始めていた。

自ずと踏み出すべき足の動きもためらいがちになる。私は心の中で、如何にあれこれと理屈をつけ、自身の在り様を好き勝手に解釈しようとも、真実は自分が心身ともにひ弱な「ただのガキ」に過ぎないという公然の秘密が、またも呆気なく馬脚を現したことにひどく狼狽し、自らに強く失望させられた。


しかし、それでも私はつたない勇気を振り絞って、暗闇の中を一歩一歩と前へ進んで行った。それは行かざるを得ないことを思い出させられたからだ。


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