9-15:思わぬ落とし穴
このままじゃあ、あの部屋で一生を終える事になりかねないぞ。
とにかく原因になっているこの腕輪を何とかしなければ!
「畜生! こうなりゃ最悪左腕を切り落とすしかないのか!?」
「ブラン、それは止めた方がいいと思う。仮にその方法で腕輪が左手から外れたとしても、今度は右腕に装着されちゃうタイプのものだと思うし」
駄目か……
俺が愕然としながら次どうするかを考えるしかなかったが、一方のガトーレはさっきから外の様子を確認している。
何か気になる事でもあるのだろうか?
「よし、そろそろ大丈夫かな?」
そう言って、ガトーレは歩き出した。
そして、開きっぱなしの大扉を通り、何事も無かったかの様に外へと出る。
「やっぱり、思った通り。腕輪を付けている人だけが外に出られない仕組みか」
ああ、これ一人用のトラップなのか。
さっきは俺の背中に乗っていたからガトーレも一緒に飛ばされていたが、一人なら効果は発動しない。
よく考えたら腕輪を装備する事が条件なのだから当然だな。
「町長もあんなに熱弁していた割には詰めが甘いと言うか、思い浮かばなかったのかな? それじゃあ、私は食べ物とか色々買い出しに行ってくるね。どうせ街側が用意する食料なんてろくなものじゃないだろうし」
「ああ、気をつけてな」
俺はダンジョンの中からガトーレを見送る。
ああ、ついでに酒も買ってくるように頼めばよかった。
──ん?
「あいつ、一人で逃げやがったなーーー!!!」
畜生!
してやられたってのとは違うし、俺の自業自得でもあるから強くは言えない。
つまりは、単純に見捨てられたわけだ。
あれから何時間が経過しただろうか?
まだ半時間も過ぎていない気もするし、もう数時間は経過した気もする。
俺もやる事がないから、ただ外を眺める事しかしていなかった。
「はぁ、ようやく一人になれた結果がこれかよ」
思い返せば、ジースのパーティを抜けた最初の頃は、俺がガトーレを見捨てようとしていたんだよなあ。
結局、紆余曲折あって実行する事こそ無かったが、今度は俺がその立場になるとは。
「あの時の罰が当たってしまったのかな……?」
この部屋に鏡が無いからわからないが、おそらくガトーレの魔法が解けて俺の姿も女になっているだろう。
さっき、体にそういう感覚があったし、確かめようとする気力も今は湧かない。
「おのれジースの奴め!」
思い出したらまた腹が立ってきた。
物思いにふけるのも流石に飽きてきて、とりあえず第十階層の部屋に戻ろうと思った時の事だ。
ガトーレが走って、しかし周りを警戒しながら戻ってきた。
「ハァ……ハァ……ブラン、大変! これを見て!」
「ガトーレ、戻ってきてくれたのか!」
俺は、相方との再会に安堵するのもつかの間、ガトーレに手渡された紙を見て驚く。
それは、俺たち二人の手配書だった。




