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1-8:抜けたいから
話に割り込むなときやがった。
「いや、だから俺がパーティ抜ける話を何でこう……」
「ブランがパーティ抜ける話はもう済んだでしょ。今は私が抜ける話を勇者くんとしているの!」
言われてみれば確かにそうだ。
俺がパーティを抜ける話はもう終わった。
そして、今はガトーレがパーティを抜ける話をリーダーのジースとしている。
って言うと、あれか?
ガトーレの奴、自分がパーティを抜けたくて俺をダシに使おうってのか?
だったらこれ以上は何も言うまい。
あいつのせいでジースの奴から要らん恨みを買うのは気にくわないが、その礼は後でたっぷり払ってもらおう。
「ガトーレ、話を戻すぞ。……つまり、お前は勇者であるこの俺よりも、格闘家のブランを取るって事だな?」
「そういう事。ごめんね、別に勇者くんの事を嫌いになったとか、他のメンバーと仲悪いとか、そんなんじゃないから」