9-4:交渉(威圧的)
「よお、ジース。飲んでるか?」
「……ブランか。何しに来やがった!?」
俺とガトーレは、ジースたちが飲んでいるテーブルまで足を運んだ。
そして、俺はジースの隣の席に強引に座り、話を続ける。
「いや、なに。お前たちのパーティが第九階層のモンスターを未だに倒していないって話を聞いたんだよ」
「はあ!? そ、そんなわけないだろ!? 俺たちが一番最初に第九階層にたどり着いたのに、そこのモンスターを倒していないとか、つまらない冗談だな」
ジースは焦った素振りで必死に弁明してきた。
……バレバレの嘘をつきやがって。
「まあ、事の真偽はどうでもいい。ジース、お前が一番よくわかっているのだからな」
「チッ……そんな事を態々言いに来たのか?」
「そうだ。第九階層にいち早く到達したのに、後からやってきた俺たちに抜かされた哀れな勇者様をからかいに来たわけだ」
「ブラン、てめえ!」
ジースの奴が突然立ち上がって怒りを露わにした。
いいぞジース、挑発に乗って冷静さを失え!
「ちょ、ちょっと待ってください! ふ、二人共落ち着いて!」
「まあまあ、ヒーちゃん。これはブランと勇者くんの男の話なんだから、口出しは野暮だよ」
「で、でも!」
ジースのパーティの副リーダーポジであるヒーラーのラウニーが、思わず会話に割って入ろうとする。
しかし、ガトーレがニヤニヤしながらそれを牽制した。
ジースの仲間たちからの横槍は、ガトーレに任せておくか。
「それでだジース、ここからが本題だ。率直に、俺たちの事を邪魔だと思っているんじゃないか? できる事なら何事も無かったかの様に、この街から出て行って欲しいと思っているんじゃないか?」
「ああ、思っているさ! 特に俺たちに喧嘩を売って来る連中の事はな!!」
「そうか。だったら望み通り、出て行ってやろうじゃないか」
「……は?」
「条件付きでこの街から出て行こうと言っているんだ。悪い話じゃないだろう?」
さあ、喰いつけジース。
そして、俺の要求を飲むんだ。
「さては、そんな都合のいい事を言ってまた俺をからかうつもりだな、ブラン」
「そんな事はない。ジース、お前が俺を女の姿に変えた方法さえ教えてくれれば、俺たちはさっさとこの街を出ていく。簡単な話だろう?」
さあ、乗れ。そして、方法を教えろ!
こんなに簡単な要求で、お前たちの名誉が回復できるんだぞ。
破格の話じゃないか。




