1-6:ご、誤解だ
はいーーーーーー!?
俺と組むとか意味わかんねーよ!!
あいつ、ジースの女じゃなかったのかよ!?
「おい、てめえブラン!! うちから引き抜いて独立しようってのか!?」
誤解だ!
そんなつもり微塵もねーよ!
「いや、俺にも何でこうなったのか、さっぱり……」
「さっぱりじゃねーよ! 引き抜き行為をとぼけて誤魔化そうとするんじゃねえ!!」
「そうじゃなくて、何で俺がガトーレと組む事になるんだ!?」
「てめえが引き抜いたからだろうが、ふざけんな!」
やべえ、初動の言動ミスったかも。
ってか、ふざけんなって言いたいのはこっちだっつーの。
とにかく、ジースの奴完全にキレてやがる。
パーティの女の子たちの前で冷静なリーダーとして気取らずに、あんなに怒鳴り散らしているとなると相当だ、こりゃ。
普段、俺には不愛想だった癖にパーティの事……いや、女絡みでこうも熱くなる奴だったとは。
こうなった以上、何を言おうが無駄かもしれない。
周りの他三人もリーダー止める様子はないし、それどころか俺の方を軽蔑の眼差しで見ていやがる。
まあ当然か、あいつらから見ても俺が自分たちの仲間を引き抜こうとしているわけだしな。
って、そうじゃない。
俺はガトーレを引き抜くどころか、あいつと組むつもりは全くないんだが。
「あのさあ、勇者くん。怒っているところ悪いんだけど、私がブランの事を引き抜くんだから、そこんところ勘違いしないでくれる?」
話が更にややこしくなりそうだ。