7-3:文面だけ見れば無茶な依頼
俺たちが噂に?
極一部と言ってはいたが、パーティ結成からまだ一週間だぞ。
まあ、有名になってジースたちより目立てば、俺の目的に一歩近づくからいいけど、どういう事だ?
「へー、私たち噂になるほど有名なんだ、ブラン」
「何か実感わかないんだよなあ。そんなに目立った事をしたつもりもないし」
「何言っているんですか、ドラゴンをたった二人だけで倒しておいて目立たないわけがない。その上、連日ドラゴン素材をうちに持ち込んできて今日はこの量ときたら、こりゃあいよいよ本物だなって」
改めて外野から言われてみれば確かにそうだ。
二人だけで第八階層探索なんて無茶な事をやっていれば、良くも悪くも目立って当然か。
「それで、頼みなんですけど。ドラゴンを今日みたい沢山狩ってきて欲しいんだ。さっき話してくれたとおりに第八階層にドラゴンがいっぱいいるなら好都合。どんどん狩ってきて」
とんでもない事言いやがるな、この女店員。
とは言え、今の第八階層はドラゴンだらけで先に進むどころじゃないし、何日かかけて掃除するのも一つの手か。
「まあ、やるだけやってみるよ」
「ちょっと、そんな安請け合いしていいの? ブランだってドラゴン倒すの楽勝ってわけじゃないのに」
「どの道、今のままじゃ先に進めないんだ。それこそ、第八階層のドラゴンを絶滅させるくらいで頑張らないと」
ダンジョンにモンスターが沸く原理なんて知らないから、狩り過ぎると本当に絶滅するのかどうかなんて分からないけどな。
「それに、この先もっとキツくなるかもしれないしな。あそこのドラゴンくらいは楽に倒せるようになるまで修行したい」
「そう言われると……でも、ちゃんとそれなりの対価は貰わないと」
「大丈夫、お二人からの買取価格には色を付けちゃいます。特にドラゴンの心臓は需要あるんで、持ち込み大歓迎です。ああ、でも、狩り過ぎて絶滅させるのは勘弁で」




