5-5:最低な勇者様
「どういう事だジース!? 何か知っているのか!?」
この手だけは……って、まさかお前がやったのか!?
いったい、どうやって?
いや、そんな事よりも戻れるのか? 戻れるのか俺!?
「お前が悪いんだぞ! お前が、俺からガトーレを奪ったのが悪いんだぞ!」
「それが俺をこんな姿にした理由か!? 俺とガトーレは男女の関係じゃねーよ。ガトーレの事は俺が何とか説得して戻すから、早く元の姿に戻せよ!」
「言い訳するな! それに、お前を女にしたのはそれだけじゃない!」
聞く耳持たない上に、他に理由があるときやがった。
単純に俺に対する嫌がらせなのか?
そうなのか!?
「ブラン、お前には話していなかったが、俺の目標は勇者の俺以外が全員女のハーレムパーティを完成させる事なんだ」
「ああ、最初の方から感づいていたし、今更だな」
「!! 気付いていたのか!?」
そりゃあ、あんだけ露骨に女ばかり集めればアホでも気づくわ。
……ん?
俺を女にしたって事はまさか、お前!?
「おい、もしかして俺を女にしてヤりたいとでも言うのか!?」
「誰がお前なんかとヤるか。俺がお前を女にしたのはな、お前みたいなタイプの女がが俺のパーティにいなく、そしてハーレムを作るのにうってつけのタイプだったからだ」
つまり、ジースの奴はコレクション的な何かのつもりでハーレムパーティを作っていたわけか。
女好きが高じてとか、単純に性欲が過ぎるとかそういう理由ではなく一種の所有欲でメンバーを揃えていたのか。
「……最低だな、お前」
冗談じゃねえ!
俺もコレクションの一つにするつもりか!!
「ああ最低さ! 流石に俺も、男を女に変化させてまでやる事じゃないと思っていた。だが、天秤にかけた結果、ガトーレを引き止めるためでの事なら仕方ないと俺は判断した」
「それと何の関係が!?」
「どうやら、お前は俺が持つ勇者の能力には気づいていないようだな」




