5-4:昨夜の記憶がない
普段前書きなんて書かないんですが、今回は一言補足を入れた方がいいと判断したので。
なるべく早い段階で元の姿に戻ります。
ドン引きされる方にも、期待される方にも悪いので先に書いておきます。
目が覚めた気がするが、まだ何か眠い。
体がなんかふわふわしている気がする。
昨日はジースたちと飲んでいて……
「よお、ブラン。お目覚めかな?」
はっ、ここは何処だ!?
辺りを見回した感じだと宿の一室で、もう朝みたいだ。
そして、ベッドから起き上がると部屋にジースがいた。
「まったく、ここまでお前を運ぶのは大変だったんだぞ」
そうだ、昨日俺は不覚にも酔いが回って……
もしかして、ジースがここまで運んで介抱してくれたのか?
俺としたことが、最後の最後にとんだ迷惑をかけちまった。
「ところで、お目覚めのところで悪いがブラン。これを見てくれないか?」
そういって、ジースは俺に鏡を渡してきた。
手鏡と言うには大き過ぎる、額縁に入った小さな絵みたいな感じの大きさのものだ。
そして……
そこには、見知らぬゴツい女の姿が映っていた。
「な、な、な!?」
思わずベッドから飛び起きてしまう。
俺は、なるべく冷静になるようにしてから、もう一度鏡で自分の姿を見た。
そして、恐る恐る自分の股間を触ってみる。
あるはずのものが、そこにはなかった。
はあ?
何の呪いだ!? どうしてこうなった!?
何で俺が女になっているんだ!?
「お、おい、ジース。俺、いったいどうなってしまったんだ!?」
「この手だけは……この手だけは使いたくなかった。使いたくなかったんだ!」




