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5-1:今夜は送別会
ダンジョンから帰還して地上に出ると、外は夕方だった。
「よくぞご無事で……二人だけでダンジョンに入って帰還なんてビックリですよ。それで、どうでしたか?」
俺たちの姿を見つけて驚く衛兵に、俺は無言でファイアドラゴンの首を差し出した。
「こっ、これはダンジョンでも第八階層以降にしかいないと言われるドラゴンじゃないですか!?」
「これをギルドに届けてほしいんだけど?」
「はっ、はい、ガトーレさん。しかし、どうして?」
「持っていけば分かるから」
俺たちが第八階層でもやっていける証拠の品をダンジョン入り口を守る衛兵に渡し、俺は街へと足を進めた。
「今晩、勇者くんが送別会開いてくれるんだっけ? 時間も頃合いだし酒場に直行しよう」
「ああ、わかった」
「ファイアドラゴンを倒した話をしたら皆驚くよね? 今から楽しみ」
ダンジョンでの出来事ですっかり忘れていたぞ。
そういや、ジースのパーティの離脱申請、ガトーレだけまだだったな。
つまり今夜、俺がこっそり逃げ出せば特に問題なくジースにガトーレを押し付けられると。
送別会でガトーレを先に酔い潰すか。




