1-3:言い出すなら今
潮時だと思った。
リーダーのジースが言おうとしたのはこうだ。
俺にパーティから抜けて欲しいと。
わかっていたし仕方のない事だ。
ここ最近は迷惑かけっぱなしだし当然だな。
だが、どんな理由があれリーダーが一方的にパーティメンバーを追い出すとなると、他のメンバーの不信につながる。
だから、気を使って一方的に俺の口から言う事にした。
それに、元々ジースが何で俺をパーティに入れたのかに、薄々感づいているのもある。
ジースは勇者であり、無類の女好きだ。
現に今のパーティメンバーはジースを除いて俺以外全員女。
他の女メンバーとは仲良くやっているみたいだが、俺とは仕事以外の会話は殆どないしな。
だから、本当は男なんて入れたくなかったに違いないが、あいつも馬鹿じゃない。
自分以外に力仕事のできる男が、最低1人はいないとパーティが成り立たない事くらいわかっている。
だから、不愛想であまり喋らず、邪魔にならない俺を入れたに違いない。
だが、今は違う。
俺がレベルアップして強くなった様に、ジースだって強くなっている。
何しろ勇者様だ。
少なくとも力仕事を自分一人でできるくらいには成長しているに違いないし、俺がいなくてもやっていけると自覚しているはず。
そうなりゃ、あいつの夢見た念願のハーレムパーティだし、俺が邪魔する理由もないってわけだ。