4-5:一人じゃない
第八階層だと!?
いくら何でも調子に乗り過ぎた。
六人パーティの時でさえ、最近になってようやく攻略できるようになってきた階層だぞ。
「おい、第八って……」
ガトーレを止めなければと、そこまで言ってふと考えが頭を過った。
これまでのガトーレの行動は、確かに一見無謀にしか思えない事ばかりだった。
だが、さっきの回復オーラの能力もそうだが、彼女なりに考えているという事がわかった今、これ以上口出しして止めるのは時間の無駄か。
「何? どうしたの、ブラン?」
「いや、第八階層まで行くのは構わない。が、一層ずつ下りながら力試しするからな。ダメだと思ったら、すぐ引き返す。これでいいな?」
「うん、いいよ。本当はサクサク行きたいけど、ブランが慎重に行きたいならそうしよう」
よかった。
ここまでは上手くいったし、多分この調子なら第六階層までは楽にいけるだろう。
だが、第七階層で囲まれると流石に厳しいと俺は考えるし、慎重に行けるなら越した事はない。
慣れたルートを通ってさっさと階段を降り、第六階層に到達。
思った通り、この程度のモンスターなら楽勝と言うか、第八階層のモンスター共に比べたら明らかに弱い。
下の階層への道は知っているのだから、ここは流してさっさと次に進むべきか。
そして、第七階層だが、迂闊だった。
獣型のモンスターからの奇襲を受け、初めて囲まれている事に気付く。
前方にも後方にも敵がいる事はわかったが、攻撃対象を選ぶ猶予はなかった。
俺はとっさに、襲い掛かって来る前方のモンスターの集団に対し渾身の一撃を繰り出した。
直撃を受けたモンスターは砕け、その周辺にいる個体も衝撃波で吹き飛び、そして殺られる。
だが、後方からの攻撃には到底間に合わず、俺は死を覚悟して身構えた!
……?
攻撃が来ない??
「何? どうしたの? 私が背中を守るのは当然の事でしょ?」
後ろを振り返ると、炎で焼き殺されたモンスターたちの死体が転がっていた。
そうだ、俺……いや、俺たちは一人じゃない。
何も、一人で全部倒さなきゃいけないとビビる必要なんて、初めから無かったんだ。
「やったね。第七階層なんて楽勝じゃん。この近くに第八階層への近道もあるし、このまま一気に行こうよ」




