3-5:もう後には引き返せない
「なあ、ブランさんにガトーレ嬢ちゃんよお? どうしてジースのパーティを抜けてまで独立したいんだい?」
「私はブランと一緒にいたいので、付いていくだけです」
おいおい、何て事を即答するんだよガトーレ!
これじゃあ、全部俺のせいになるじゃねーか、おい!
まあ、俺の理由も隠したところで仕方ないし正直に話すか。
俺が抜ける理由は、自分の強すぎる力での攻撃で仲間に迷惑をかけないため、そしてジースの悲願と思われるハーレムパーティを成就させる事。
後者の理由は……言ってやったら流石にジースが可哀想だな。
「実は俺、最近強くなり過ぎたせいで、力の加減ができないんです。そのせいで、強過ぎる攻撃に味方を巻き込んでしまうので、これ以上迷惑かけないためにも思いまして」
「!! そうなのかジース?」
「ブランの言う通りです。私も幾度となく巻き込まれてまして、危ない事も何度かありました。ですので、彼の意思を尊重したいと」
抜ける理由なんて初めて話したのに、この返答な。
「確かになあ、うーん。 『戦闘陣形変えてみるなりして、何とか対処できないのか?』 って言いたいところだが、ジースもそんな事くらい試した上での発言だろ? 勿体ないけど、仕方なさそうだなあ」
もっと色々とツッコミ入るかと思ったが、驚くほどすんなり話が進んだのはジースの勇者としての人徳って奴か。
そして、ギルド公認で俺が抜ける事もほぼ確定したし、俺が抜けるの止めて丸く収まる問題では無くなったと。
「で? 問題はガトーレ嬢ちゃんだが、ブランさんに付いていくとか危なすぎだ。悪い事は言わん、やめておけ」
「嫌です! 私はブランに付いていきます。それに、私なら私じゃなきゃできない方法で攻撃の余波も回避できますので」
またもや、ガトーレが即答した。
まあ、確かにあの方法で回避するのはガトーレでなきゃ無理だが、何だかなあ……
「そ、そうなのか!? だがなあ、嬢ちゃんまで抜けるとジースのパーティは大幅戦力ダウンだし、ギルドとしてもできれば残って欲しいんだが」
そうなるよなあ。
無理を言えば抜けれるにしても、このままじゃあ円満にとはいかなくなる。
最悪、ギルドとの確執でこの街に居られなくなる、なんて事になりかねない。
「だったら、私とブランで組んだ二人パーティでダンジョンに潜ります。新たに強いパーティが誕生するなら、ギルドとしても問題ないですよね?」




