3-4:冒険者ギルド
諸々の手続きのため、ギルド受付のおっさんの前にガトーレと俺、そしてジースが横一列に並ぶ。
冒険者ギルドと言っても、実際は拠点にしている街の役所の一つで、ギルドの事務職と言っても要は役人。近くのダンジョン探索も認可制だから、面倒でもこうして手続きしなきゃいけない。
「やあ、ジース。失くし物は見つかったのかい?」
「はい、その件は解決したのですが、今は別件で……」
「私たち、勇者くん……いえ、ジースのパーティを抜けて独立するので、その手続きをお願いします」
「マジか!? それこそデカい失くし物なんじゃないか、ジース?」
いきなり二人もパーティを抜けるからな。
受付のおっさんが驚くのも致し方ない、のか?
それにしては、ひどく驚かれた気がするが。
「おいおいジース、この二人と言えばお前さんとこのパーティの強キャラ二人だろ!? 本当にいいのか?」
「いいわけないじゃないですか……だがッ、だがッ、仕方がないんだ。二人が抜けたがっているから、私もその意思を尊重したいんです」
俺の事追い出したがってたくせに、よく言うぜ。
ってか、外部の評価なんか気にした事なかったが、俺はともかくガトーレまで強い括りになのかよ。
俺の場合、現状強さが災いしているから強キャラ評価も分からなくはないが、あいつ意外と評価高いな。
「いやいや、説得して残ってもらった方が絶対いいって。ブランと言えば、このあたりじゃあ一番の怪力だと噂され、知らない奴はモグリってレベルだし。ガトーレに至ってはシーフから転職した魔法使いで、業界内じゃあシーフスキルも魔法も使いこなす珍材として有名なんだ。こいつの代わりなんていないぞ」
俺そんなに有名だったの!?
てっきり、勇者様の後光でパーティ全員がそれなりに知れ渡っているだけ、とばかりに思っていたのに。
ガトーレの奴もよく分からんが凄過ぎて、ジースの奴が俺に逆恨みするのも合点がいく。
これ、俺が「やっぱり抜けるの止めます」って昨日の言葉を撤回した方が丸く収まるんじゃないか?




